「英雄の戦い、しかと見ていろ」
槍で突いた瞬間。
悔いた。
相手は自分より先んじた存在だ。
そうつくづく思い知った。
槍を居合いで捌かれ、返す刀で斬られる。
割って入る者がいた。
アイリンだ。
全ては一瞬のことだった。
アイリンは斬られた。
男は目を丸くする。
「クソっ!」
槍で相手の手首を貫いた。
もうこれで刀は持てまい。
からんと音を立てて刀は地面に落ちた。
ヒョウンはアイリンを抱え、歩き始めた。
「今助ける! リディア様のいるところに辿り着けば、あるいは……」
「トドメは刺さぬのか?」
男は戸惑うように言う。
ヒョウンは一度、立ち止まる。
「腕が惜しい。貴方も自分の腕を活かしたいならば、ハイラル国王陛下に仕えるべきだ」
「果たして勝てるか? 俺の主君に」
「勝つと、期待している。そしてあのお方が俺を裏切ったことはない」
そう言い放って、駆け始めた。
アイリンの呼吸は荒い。
「アイリン殿、しっかり」
アイリンは荒い呼吸で頷く。
意識はあるらしい。
「止血薬……背中の鞄に」
頷いて、駆けながら鞄を漁る。
勝負はついた。
ヒョウンとアイリンは勝利した。
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ネクロマンサーに向かってリーシェは跳躍して斬り掛かった。
その瞬間、ネクロマンサーの魔法の触手に絡め取られた。
「ぐっ……」
レイヴンが魔法の触手を断ち切ってリーシェを抱きかかえるr。
ミルドの武具庫に眠っていた対魔武具だ。
「嬢ちゃんにしては、短慮だ。誰か、知人でもいたか」
リディが震える手で、指さす。
「あのネクロマンサーが操っていたのは、リーシェちゃんの家族だ」
真顔になるレイヴン。
リーシェは一筋涙を流す。
ハイラルを出た時からある程度覚悟していたことだ。
ただ、牢に捕らえられているのかも知れない、という期待は持っていた。
しかし、現実は厳しかった。
「……俺の本気を、見せる時が来たようだ」
レイヴンはそう言って、リーシェを降ろす。
「英雄の戦い、しかと見ていろ」
そう言って、レイヴンは二人に背を向けた。
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ミリィのガエリオが敵の魔術を阻んで前進する。
後少し、後少しと言うところで動けない。
ミリィの体が崩れ落ちる。
「……基礎魔力量が落ちている?」
「息子に持っていかれたな」
老人が淡々とした口調で言う。
「こんな心を読む珍奇な存在、子供まで作る数奇な者がいるとは思わなかった。しかし、私が不老不死の術を使いその体で修行を積めば……」
老人の手が、ミリィに伸びる。
その腕を、俺は断っていた。
「ハラド、任せる!」
「無茶を仰る……」
俺はガエリオを越えて、敵に飛びかかっていた。
つづく




