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放浪王子と引きこもり姫の追放社不結婚  作者: 熊出
第四章・青年期ハイラル国編

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「私は武を極めるために旅をしていた」

 ヒョウンはアイリンと共に構えていた。

 相手がゆっくりと剣の柄に――いや、それは噂に聞く東方に伝わる刀というものなのだろう――手を添える。


「私は武を極めるために旅をしていた」


 淡々とした口調で男は言う。


「しかし、どの国に行っても同じだ。利用するだけ利用して、後は邪魔者扱い。私はどの国でも疎んじられた。だから、この混乱は好機だった。お主もそうだろう?」


 ヒョウンは胸を張って返す。


「私は自らのために武を極めようと思った。だが、皆が陛下を慕っている。私も陛下に興味を持って仲間に加わった」


 槍を構える。


「あの方は、私の期待を裏切らなかった。王族なのに、庶民にも頭を下げたりする、情けなくて、妻と喧嘩してへこんだりする、人間らしい俺の主君だ」


「……そうか」


 刀と槍。構えているものは違うが心は似通っている。

 違ったものは、仕えた主君。


「お主が若干、羨ましい」


 じりじりと両者にじり寄る。

 居合いの間合いの外から倒す。それしか手はなかった。



+++



「どんりゃああああ!」


 怒鳴り声が響き渡る。

 敵の一人が臓物を吐き出しながら吹き飛び、軍勢に割れ目を作る。


「今回ばっかりは私も怒った!」


 リディが覚醒した? しかし意識を失っていない?

 リーシェは戸惑う。


「あんた……コントロールできてるの?」


「流石の私でもあれだけたびたび意識を失ってたら流石に考えるよ」


 苦笑交じりに言うリディだった。


「それもそうか」


 苦笑して戦いを再開するリーシェ。

 リディの暴れぶりに敵の軍勢は次々になぎ倒され、そのうち酷い匂いに魔法使いが空中に浮かび上がった。


 リーシェは彼女を睨みつけた。

 彼女はリーシェに微笑みかけている。

 嘲笑うかのように。


「……大人しく尻に敷かれとこうっと」


 リディの暴れ振りを見てぼやくように言うレイヴンだった。



+++


 ミリィの双頭の炎の竜が飛んでいく。

 それを老人の光の槍が貫く。

 しかし、互いに術を互いのガイエルで無効化する。


「私と同格。思った以上に育った」


「ミリィ、前線を押し上げてくれ!」


 俺は言う。


「間合いに入れば一太刀で倒せる! ガイエルを展開して前進してくれ!」


「了解です!」


 一歩一歩、ミリィが歩いていく。

 それを、俺は息を呑んで見守っていた。



つづく

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