「陛下、命を。奴を倒せ、と」
俺達が抜け出たのは聖堂の裏だった。
オーヴァ神の像が祀られている。
アイリンの情報通りだ。
俺達はそこから広場に抜け出た。
とたんに、悪寒に襲われた。
大衆に囲まれている。
鎧を着ているものもいれば平民もいる。
誰もが白目を向いている。
尋常な光景ではない。
「ネクロマンサー。さながら魔術的儀式で使われた魂の抜け殻を利用しているのでしょう。この中に、いる」
ミリィが言う。
「陛下、命を。奴を倒せ、と」
リーシェがそう言って一歩前に出る。
「多対戦では私に経験がある。私にお任せください。陛下は、黒幕を」
「嬢ちゃん一人じゃ流石に無理だろ」
そう言ってレイヴンも一歩前に出る。
「武勇の見せ所だ。劣勢にこそ輝くのが英雄と言うものよ」
誇らしげに言うレイヴン。
俺は頷いた。
「ここはそなたらに任せた。我々は先を急ぐ。リーシェ、レイヴン、ネクロマンサーを倒せ!」
「はっ!」
俺達は歩み始めたが、リディもそこに残った。
「医療術師、要るでしょ?」
「貴方は陛下の切り札に……まあいいか、片付ければ良い」
そんな会話が背後に聞こえて俺は苦笑した。
最期まで凸凹コンビなのは変わらないらしかった。
俺達は大階段へと移動する。
そこで、大臣と遭遇した。
俺は剣を抜き、無言で神通力を使い跳躍する。
一刀で大臣は真っ二つになった。
そう思った。
「陛下、危ない!」
ミリィの鋭い声で振り向く。
伸びてきていた触手を剣で弾く。
肉と肉が伸びて真っ二つになった大臣の体がくっついている。
その喉、切り口からは触手がとめどなく伸びている。
(やはり大臣の影に誰かがいる、か)
俺は苦い思いで、剣を構えた。
つづく




