「私が貴方に組みしたのは他の理由もあります」
「私が貴方に組みしたのは他の理由もあります」
アイリンの偵察中、ハラドがポツリと言った。
「と言うと?」
「近年どうやら、失踪者が多い……昔は気にしない程度でしたが、今は顕著に目立ってきた」
一同、眉間にシワを寄せる。
「考えられる原因は?」
リーシェに問う。
「表向きは落ち着いた統治がなされているようです。失踪する理由がわからない」
困惑したように言うリーシェ。
「考えられる理由としては……」
ミリィが口を開く。
「魔術的儀式」
気温が下がった気がした。
「私もそのような気がしてならないのですよ」
ハラドが溜息を吐く。
「大臣派は何かを企んでいる。旅の者も何人も迎え入れたと聞きます。このような少人数で良かったので?」
疑うように問う。
「一定以上の戦力を持った者のみを集めた。ここにいる人材なら生還してくれると信じている」
俺の言葉に、一同頬を緩める。
「王はどうやらお優しい方のようだ」
ハラドは苦笑交じりに言う。
「しかし、時には冷酷になるべきなのも王です。過ぎた言葉ですが年寄りの戯言と思って受け流してください」
「うむ。そなたの言葉、心に閉まっておこう」
アイリンが戻ってきた。
真っ青だった。
「王墓の方から物凄い魔力を感じます」
「魔力? ミリィ」
ミリィは頷いて、魔力を一部解放する。
魔力探知。
ミリィのその範囲と精度に比肩するものはいない。
ミリィは目を見開いた。
「これは……」
ミリィは絶句する。
「なにを見た?」
嫌な予感を感じつつ言う。
ミリィは俯いて、低い声で言った。
「火山の、精霊。莫大な魔力だ」
沈黙がその場に漂った。
「敵は事前に手を打っていたようですね」
リーシェが苦悩の表情で言う。
「私が以前来た時にはおりませんでした」
アイリンが戸惑うように言う。
「行くしかあるまい。我々には最早進む道しか残されていないのだ」
そう言って、俺は歩みを進め始めた。
一同、無言でそれに続いた。
各々、覚悟を決めながら。
つづく




