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放浪王子と引きこもり姫の追放社不結婚  作者: 熊出
第三章・青年期ミルド国編

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「久しぶり」

 ヒョウンは槍を振るっていた。

 それを片手剣でひょいひょいとレイヴンは弾く。


 横薙ぎ。

 しかしその上に乗られた。


「いやはや、敵いませぬな」


 呆れたように言うヒョウン。


「なに、そのうち追い越す。お前さんは筋が良い」


「本当でしょうか……?」


「保証してやるよ。そのうち俺を追い越す。若い者の時代が来る。調整に付き合わせて悪かったな」


 そう言ってレイヴンは片手剣を鞘に納める。


「大剣は置いていくので?」


「陛下の考えるクーデターは室内戦を想定している。大剣は味方を巻き込みかねないし、壁にぶつかりかねない」


「城、と言えば広い空間をイメージしますが……」


「念には念をってことよ。俺も準備は整った」


 呼吸を整えたヒョウンは槍の柄で地面を突く。


「陛下はまた月見でしょうか?」


「黄昏れているのよ」


 からかうように言ったレイヴンだった。



+++



 あれ以来、ミリィからの連絡はない。

 後はミリィさえ来ればクーデターの準備は整う。

 王都と先王の奪還。それに向かって進むことが出来る。


 月夜を眺める。

 綺麗な満月だった。

 背後に気配を感じて、俺は振り向いた。


「久しぶり」


 青空を思い起こさせる懐かしい声。

 微笑む。


「久しいな」


「出来る準備は全てしてきました。後は、戦うのみ」


「私もだ」


 抱き寄せる。

 久々の温もり。

 ああ、彼女の中に私人としての自分の居場所があるのだと実感する。


「子供は?」


「仙人様に預けてきました。ここにいたら政治に利用されるだろう、と」


「尤もな話だ」


 俺が父でも利用するだろう。

 野心家とはそういうものだ。


「行くぞ、ハイラル」


「この旅で大人になりましたね、互いに」


「仲間も増えた」


 月夜を見上げて決意を新たにする。


「王都決戦だ」



ミルド国編2・完

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