「お前は私を越えた、クラフト」
訓練場で木剣を手にアルトと二人向かい合う。
アルトは自然体だ。
だが、そこには絶対領域がある。
立ち入ればとたんに跳ね返す能力。
天性のギフト。
「解が見つかったそうだな。お前の解を見せてみろ」
木剣をだらんと下げる。
アルトは微笑んだ。
「私の解は出ました。それは、単騎で貴方に打ち込まないことです」
俺も微笑んで言う。
「レイヴンを倒した時もそうだった。私のギフトは策謀。分析し、連携を組み立て、強敵をも打破する。だから、個としての強さはいらぬのです」
アルトは深々と頷いた。
「見事なり。お前の実力は正直私と伯仲するだろう。しかし、お前はその先に行った。お前は私を越えた、クラフト」
「まだまだです」
苦笑する。
「そこの忍びの者が武具を欲しがっていたそうだな」
どこから聞きつけたのだろう。
これも王の器と言うやつなのだろうか。
一つ、頷く。
「用意させよう。私からの手向けだ。安堵した。お前はもうハイラルに行っても大丈夫だ」
「……心配、してくれていたのですか」
苦笑する。
「可愛い弟だ。心配しもする。放浪が多くて兄は白髪が増えそうだ」
滑稽そうに言うと、アルトは木剣を片付け、ぽんと俺の肩を叩いた。
「ハイラルとミルド。末永く交流しましょう」
「ああ、そうだな。私は今、とても満ち足りた気分だ」
包容する。
「また会おう、クラフト。いや、ハイラル国王陛下」
「ええ、必ず戦勝報告をしにまいります」
俺達は初めて、苦手意識を越えて、兄弟としてわかりあっていた。
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ミリィは目を閉じて瞑想していた。
心は凪のようだ。
今までより効率的に魔法を使えるという実感があった。
「そうだ、激しい心では魔法は扱いきれない。冷静さと忍耐が必要だ。教えることはまだまだあるが、ひとまず今必要な教えは全て習得したと言って良いだろう」
ミリィは目を開く。
「では!」
「ああ、愛しき旦那の下へ行くが良い。戦勝報告を待っているよ」
ミリィは微笑んで、一つ頷いた。
魔力制御は以前の比ではない。
ミリィは、戦略兵器級魔法使いと呼ばれていた頃から、本来の魔法使いとしての姿を見出していた。
つづく




