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放浪王子と引きこもり姫の追放社不結婚  作者: 熊出
第三章・青年期ミルド国編

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「お前は私を越えた、クラフト」

 訓練場で木剣を手にアルトと二人向かい合う。

 アルトは自然体だ。

 だが、そこには絶対領域がある。

 立ち入ればとたんに跳ね返す能力。

 天性のギフト。


「解が見つかったそうだな。お前の解を見せてみろ」


 木剣をだらんと下げる。

 アルトは微笑んだ。


「私の解は出ました。それは、単騎で貴方に打ち込まないことです」


 俺も微笑んで言う。


「レイヴンを倒した時もそうだった。私のギフトは策謀。分析し、連携を組み立て、強敵をも打破する。だから、個としての強さはいらぬのです」


 アルトは深々と頷いた。


「見事なり。お前の実力は正直私と伯仲するだろう。しかし、お前はその先に行った。お前は私を越えた、クラフト」


「まだまだです」


 苦笑する。


「そこの忍びの者が武具を欲しがっていたそうだな」


 どこから聞きつけたのだろう。

 これも王の器と言うやつなのだろうか。

 一つ、頷く。


「用意させよう。私からの手向けだ。安堵した。お前はもうハイラルに行っても大丈夫だ」


「……心配、してくれていたのですか」


 苦笑する。


「可愛い弟だ。心配しもする。放浪が多くて兄は白髪が増えそうだ」


 滑稽そうに言うと、アルトは木剣を片付け、ぽんと俺の肩を叩いた。


「ハイラルとミルド。末永く交流しましょう」


「ああ、そうだな。私は今、とても満ち足りた気分だ」


 包容する。


「また会おう、クラフト。いや、ハイラル国王陛下」


「ええ、必ず戦勝報告をしにまいります」


 俺達は初めて、苦手意識を越えて、兄弟としてわかりあっていた。



+++


 ミリィは目を閉じて瞑想していた。

 心は凪のようだ。

 今までより効率的に魔法を使えるという実感があった。


「そうだ、激しい心では魔法は扱いきれない。冷静さと忍耐が必要だ。教えることはまだまだあるが、ひとまず今必要な教えは全て習得したと言って良いだろう」


 ミリィは目を開く。


「では!」


「ああ、愛しき旦那の下へ行くが良い。戦勝報告を待っているよ」


 ミリィは微笑んで、一つ頷いた。

 魔力制御は以前の比ではない。

 ミリィは、戦略兵器級魔法使いと呼ばれていた頃から、本来の魔法使いとしての姿を見出していた。


つづく

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