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放浪王子と引きこもり姫の追放社不結婚  作者: 熊出
第三章・青年期ミルド国編

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(そなたのおかげで解が見つかった)

 兄から出された宿題の解が見つからぬままに日々は過ぎた。

 ある日は超小型太陽を作り出し、二方向からの攻撃を試みたが、いとも容易く返された。

 ある日はヒョウンと対戦して自分に足りないものを探したが、どうやら自分は武官としての成長限界に達しているようだった。


 道が見つからない。

 ベッドに寝転がり思案する日々。

 リーシェとアイリンが代わる代わる護衛をする。


 そんなある日のことだった。


(陛下)


 懐かしい声が脳裏に響いた。


(ミリィか?)


(ええ、ええ、陛下のミリィでございます)


 表情が解れる。

 悩みが一瞬で頭の外に飛んでいった。


(魔力増念波の発信、覚えたのだな。それも階層を超えるとは)


(仙人様の力をお借りしております。だから、今日はちょっとの息抜き。そちらはどうですか?)


(少し壁にぶつかっておる。兄に中々勝てなくてな。私はどうやら武官として成長限界に達しているようだ)


(こちらも覚えることが多くて。仙人様の知識は膨大でありますれば)


(しかしそなたの好奇心ならそのうち習得できるだろう)


(ふふ、そう言って貰えると元気が出ます)


(互いに頑張っているのだな……)


 しみじみという。


(国を奪還するための最期の難関でございますれば)


 苦笑交じりの声。

 そして、思い出す。

 自分がレイヴンをどう撃破したか。

 それを考えれば、答えは明白だった。


(そなたのおかげで解が見つかった、ありがとう)


(こちらも元気が出ました。して、話題は変わりますが……)


(ん? なんだ?)


 しばしの間。


(子供が産まれました。陛下が名前を考えてくださいまし)


 世界が輝いて見えた。

 人の父になった。その衝撃が怒涛のように体を襲った。


(少し動揺しておる。次回までの宿題にさせてくれ)


 笑い声を上げるミリィ。

 愛しい。

 抱きしめたい。

 しかし、今はしばしの我慢だ。


(こちらの修行ももうすぐ終わりますれば。再会の日は近いと思います)


(ついに王都奪還だな)


(はい。そして父との再会も待っております。私、頑張る!)


(ああ、俺も頑張るよ)


(では、また)


(ああ、ありがとう、良い気分転換になった)


(お互い様でありますれば)


 苦笑交じりのミリィの声。

 そこで、思念は途絶えた。


 力が湧いてくる。

 解は見つかった。

 後は実践するだけだ。


「アイリン」


「はい」


 部屋の前から扉を開けて入ってくるアイリン。

 今は目立たぬように貴族の服だ。


「解が見つかった、勝負がしたいと兄に伝えてくれ」


 アイリンがぱぁっと表情を華やかせる。


「了解しました。流石は陛下でございます!」


 起き上がる。

 雌伏の時はもう少し。

 決戦は近づこうとしている。



つづく

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