(そなたのおかげで解が見つかった)
兄から出された宿題の解が見つからぬままに日々は過ぎた。
ある日は超小型太陽を作り出し、二方向からの攻撃を試みたが、いとも容易く返された。
ある日はヒョウンと対戦して自分に足りないものを探したが、どうやら自分は武官としての成長限界に達しているようだった。
道が見つからない。
ベッドに寝転がり思案する日々。
リーシェとアイリンが代わる代わる護衛をする。
そんなある日のことだった。
(陛下)
懐かしい声が脳裏に響いた。
(ミリィか?)
(ええ、ええ、陛下のミリィでございます)
表情が解れる。
悩みが一瞬で頭の外に飛んでいった。
(魔力増念波の発信、覚えたのだな。それも階層を超えるとは)
(仙人様の力をお借りしております。だから、今日はちょっとの息抜き。そちらはどうですか?)
(少し壁にぶつかっておる。兄に中々勝てなくてな。私はどうやら武官として成長限界に達しているようだ)
(こちらも覚えることが多くて。仙人様の知識は膨大でありますれば)
(しかしそなたの好奇心ならそのうち習得できるだろう)
(ふふ、そう言って貰えると元気が出ます)
(互いに頑張っているのだな……)
しみじみという。
(国を奪還するための最期の難関でございますれば)
苦笑交じりの声。
そして、思い出す。
自分がレイヴンをどう撃破したか。
それを考えれば、答えは明白だった。
(そなたのおかげで解が見つかった、ありがとう)
(こちらも元気が出ました。して、話題は変わりますが……)
(ん? なんだ?)
しばしの間。
(子供が産まれました。陛下が名前を考えてくださいまし)
世界が輝いて見えた。
人の父になった。その衝撃が怒涛のように体を襲った。
(少し動揺しておる。次回までの宿題にさせてくれ)
笑い声を上げるミリィ。
愛しい。
抱きしめたい。
しかし、今はしばしの我慢だ。
(こちらの修行ももうすぐ終わりますれば。再会の日は近いと思います)
(ついに王都奪還だな)
(はい。そして父との再会も待っております。私、頑張る!)
(ああ、俺も頑張るよ)
(では、また)
(ああ、ありがとう、良い気分転換になった)
(お互い様でありますれば)
苦笑交じりのミリィの声。
そこで、思念は途絶えた。
力が湧いてくる。
解は見つかった。
後は実践するだけだ。
「アイリン」
「はい」
部屋の前から扉を開けて入ってくるアイリン。
今は目立たぬように貴族の服だ。
「解が見つかった、勝負がしたいと兄に伝えてくれ」
アイリンがぱぁっと表情を華やかせる。
「了解しました。流石は陛下でございます!」
起き上がる。
雌伏の時はもう少し。
決戦は近づこうとしている。
つづく




