「うーむ、天才とはいるものだな」
結局、俺はアルトに打ち込めなかった。
俺の策謀のギフトを駆使しても、打開策が見つからなかった。
打ち込めば負けはしないがただ消耗する。その結果が明確に意識できた。
ベッドに寝転がり、考える。
アルトはこう言った。
「私のような手合にどう対処するか。私からの宿題だ」
爽やかに言ったものである。
「うーむ、天才とはいるものだな」
改めて実感した。
「私も隙を見いだせなかった。貴方の攻撃を初めて受けた時は雷光のようだと思ったものですが、あの方は水面のように静かだ」
リーシェもしみじみと言う。
「あるいはレイヴンなら突破できるのだろう。理屈を超えた圧倒的な武。ヴーンすらも単騎で破壊するような。私にそこまでの武はない」
唇を尖らせて言う。
「三竦みですねえ。アルト様はレイヴン様に敵わない。レイヴン様は陛下に敵わない。陛下はアルト様に敵わない」
アイリンが淡々と分析する。
「宿題、と彼は言った。突破することが出来るはずだ。それが、ハイラル攻略の一つの鍵になる気がする」
沈黙が部屋を漂った。
結論は見えない。
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「今日は神通力を鍛えよう」
スカーレットの提案にミリィは戸惑った。
「私は魔術師です。剣術家ではありません」
「鍛えておくに越したことはないよ。ドラゴンスレイヤーには苦い思いをさせられたのだろう?」
言われて口籠る。
火柱を尽く回避する超常の身体能力を誇るレイヴン。
杖の制御を覚える前だったこともあり、彼の前にミリィは魔力を使い果たし倒れたのだった。
「相手が剣士ということもままある。天才とはいるものだ。君の魔法が通じない敵も出てくるだろう。身体能力は伸ばしておくに越したことはない」
「遠回りをしているようで少々物憂いです」
「君には考える時間が必要だ。体を動かして気分転換をすることはそのためにも有効だ。魔法とはどうやって発展した?」
「模倣と、分析……」
スカーレットは頷く。
「そうだ。模倣と分析の境地に至った時君は魔法使いから魔法研究家へと進化する。まだまだ模索する段階だよ」
優しく諭すように言われると、納得してしまう。
「ただ、私は元引きこもりの運痴でありますれば……」
「うーむ……」
スカーレットはミリィを見る。
実感した。
肌を通貫して筋肉繊維までも見られている。
肌の外には微量な自然魔力が漂っているだろうに、それを貫通している。
改めて、驚かされる。
「虚弱」
スカーレットは少し失望したように言った。
ミリィは頬を染めて俯く。
「自覚はしておりまする……」
元引きこもり、運動をする。
つづく




