「そなたは、俺の運命だ」
地下通路を再び歩き始める。
大股でずかずかと、相手に侵入を示すかのように。
突風が吹いた。
押し返されそうになるが足腰に力を入れて前進する。
そのうち、諦めたように風は止んだ、
(その気になれば、城一帯焼き払えるんだろうな)
「その気になれば、城一帯焼き払えるんだろうな」
俺の心を読み取ったらしく、平坦な声が場に響く。
どうしてだろう。その声から青空を連想するのは。
「俺の心に触れるな、と言ったはずだ」
「入ってきてしまうのです」
やはり平坦な声。
人生を諦めているかのような。
「勝手に、聞こえてしまうのです」
「なら、それも仕方あるまい」
俺は扉を乱暴に開けると、彼女の前に跪いて手を取った。
彼女は目を丸くする。
「え?」
「読めなかったか?」
苦笑交じりに言う。
「読んでみろ」
俺の思考を読んだ彼女の顔が真っ赤に染まっていく。
「えっ? えっ? えっ? えっ?」
「お前の言うとおりだ。俺も愛に飢えている」
苦笑交じりに言う。
「お前が私を受け入れてくれると言うなら、俺もそなたを受け入れよう」
彼女は放心したようにしばらくぼんやりしていたが、そのうちその瞳に涙が宿る。
「抱きついてもいいですか?」
(ああ)
俺は淡々と心の中で答える。
彼女は、抱きついてきた。
これが俺達の始まりだ。
「そなたは、俺の運命だ。疑うこともなかろう? 俺の心が読めるのだから」
そう俺は言い、しゃくりあげる彼女の背を撫でた。
孤独は、孤独を知るものにしかわからない。そうと悟った。
つづく




