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放浪王子と引きこもり姫の追放社不結婚  作者: 熊出
プロローグ・少年期ハイラル国編

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3/55

「そなたは、俺の運命だ」

 地下通路を再び歩き始める。

 大股でずかずかと、相手に侵入を示すかのように。


 突風が吹いた。

 押し返されそうになるが足腰に力を入れて前進する。


 そのうち、諦めたように風は止んだ、


(その気になれば、城一帯焼き払えるんだろうな)


「その気になれば、城一帯焼き払えるんだろうな」


 俺の心を読み取ったらしく、平坦な声が場に響く。

 どうしてだろう。その声から青空を連想するのは。


「俺の心に触れるな、と言ったはずだ」


「入ってきてしまうのです」


 やはり平坦な声。

 人生を諦めているかのような。


「勝手に、聞こえてしまうのです」


「なら、それも仕方あるまい」


 俺は扉を乱暴に開けると、彼女の前に跪いて手を取った。

 彼女は目を丸くする。


「え?」


「読めなかったか?」


 苦笑交じりに言う。


「読んでみろ」


 俺の思考を読んだ彼女の顔が真っ赤に染まっていく。


「えっ? えっ? えっ? えっ?」


「お前の言うとおりだ。俺も愛に飢えている」


 苦笑交じりに言う。


「お前が私を受け入れてくれると言うなら、俺もそなたを受け入れよう」


 彼女は放心したようにしばらくぼんやりしていたが、そのうちその瞳に涙が宿る。


「抱きついてもいいですか?」


(ああ)


 俺は淡々と心の中で答える。

 彼女は、抱きついてきた。


 これが俺達の始まりだ。


「そなたは、俺の運命だ。疑うこともなかろう? 俺の心が読めるのだから」


 そう俺は言い、しゃくりあげる彼女の背を撫でた。

 孤独は、孤独を知るものにしかわからない。そうと悟った。



つづく

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