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放浪王子と引きこもり姫の追放社不結婚  作者: 熊出
第十二章・父親期ミルド国奪還編

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「リーシェ、しっかりしなさい」

「リーシェ、ガイエル!」


 我に返ったようにリーシェはガイエルを展開する。

 王宮内のみに伝わる魔法を殺す式。


 その青い輝きに吸い込まれるように、槍は消えていった。

 リーシェとリディを下ろす。

 それと同時に、後方から飛んできた槍をガイエルで相殺する。


「ふむ。これは決着がつかぬな」


 相手は顎に手を当てて考え込む。


「それでも良いぜ、どの道砦は堕ちる。俺達の勝ちだ」


 相手は喉から笑い出す。


「お前、統率者か。統率者自ら一番強い敵と戦うと言う。滑稽なものだな」


「そなたとて同じではないか」


「ふふ、か弱い人間にしては頑張るな、と思ったのだ」


 そう言って、相手は槍を消す。


「サシでやろう」


 俺は、頷く。


「リディ、リーシェ、自らの身は守れるな?」


「私達が、反応するのも……やっとだなんて」


 ここまで実力差が開いているとは思わなかったのだろう。

 リーシェは戦慄くように言う。

 今となっては、武力としてはレッド以下かもしれない。

 しかしそれでも、内省官としても武官としてもリーシェは一流だ。


「リーシェ」


 俺は叱るように言う。


「しっかりしなさい」


 ショックを受けたのがわかる雰囲気。

 しっかりしすぎてるリーシェだ。

 しっかりしろなんて言われた経験はないだろう。


 しかし、あえて言う。


「戦力だと思って連れてきた。そなたが活躍する場所は必ずくる。今は耐えよ」


「はっ」


 リーシェは消え入るような声で言った。

 そして俺は、相手と対峙した。


「剣だけでやろうぜ」


 相手はそう言って剣をぶんぶんと振るう。


「……異形が剣術を嗜むのか?」


「いや? 先天的な風習ではない。学んだのだよ」


 彼は唇の端を上げる。


「そなたの兄から」


 かつて俺より強かった兄を模倣した人間以上の異形。

 立ち向かえるのか?

 立ち向かうしかない。


 背後にも前にも部下がいる。

 ハイラルにもミルドにも民がいる。

 戦うしかない。



+++


「それでね、クラフト様が愛があるセックスがしたいと酒場で騒いで私は大恥」


「どこが良いのそんなところ」


「クラフト様はダメなところも良いのです。最終的にはいつも私の期待の斜め上を行く」


「それ、褒めてるの?」


 ミリィ達の旅はクラフトの恥暴露大会になっているのだった。


(今頃元気かなあ、クラフト様。レッドも、平和にしてれば良いけど。ああーー)


 ミリィは倒れ込む。


「良い天気ー!」


 エンジョイしているミリィであった。




つづく

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