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放浪王子と引きこもり姫の追放社不結婚  作者: 熊出
第十二章・父親期ミルド国奪還編

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(まったく、陛下といい、彼といい、王家の血筋をなんだと思っているんだろう……)

 その頃、アイリンはと言うと、ハイラルから出国する一人の少年を呆れた目で見ていた。


(まったく、陛下といい、彼といい、王家の血筋をなんだと思っているんだろう……)


 中々ズレた一族だなあと思う。

 そのズレた一族に惚れ込んでいるのが自分だが。

 中々に道化。


 彼の前に着地する。


「何をやっているんですか、殿下」


「アイリン姉!」


 レッドは表情を華やかせる。


「心配してた! 蓄電したって聞いて!」


 抱きついてくる。

 苦笑して抱き返す。


「心配かけてごめんなさい、殿下。けど、私はもう陛下の下で働くことはできないの」


「陛下が、何か嫌われるようなことでもしたのか?」


 思い出す。

 髪に飾られる花。

 触れる逞しい指の感触。


 今でもほおが熱くなる。

 あの時から、自分は勘違いしてしまったのだなと思う。


「違うの。私が悪いんだ」


「……そうなの?」


 一つ、頷く。


「殿下、今のミルドは危険です。何処から異形の者が現れるかわからない」


「承知の上だ。僕の実力は君も知っているだろう?」


 そう言われたらお手上げだ。

 アイリンも彼には敗北を喫している。


「アイリン、陛下の役に立ちたい。何か情報はないか」


 強い眼差し。

 陛下譲りの。

 苦笑する。

 思ったのだ。

 最悪、危機が迫れば、自分が犠牲になれば良いと。

 それだけの罪を、自分は背負った。


「……レジスタンスに接触しました。殿下の血筋なら、彼らの指導者になれるかと」


 レッドは目を輝かせる。


「行こう!」


「道を探ってまいります。殿下はしばしここでお待ちを」


「うん!」


 レッドは素直に頷く。

 まったく、可愛らしい子だ。



+++



 小高い丘から一同はその砦を見下ろしていた。


「ふむ……」


 俺は呟く。


「風上だな、こちらが」


「燃やしますか」


 レイヴンは流石察しが良い。


「他国に火計をかけると……?」


 リーシェは震えるように言う。


「構わんさ」


 俺は淡々と言った。


「俺の実家だ」


 勝つためならなんだってやる。

 戦力的には不利だ。

 どんな計略だって使ってやろうと、俺はそんな覚悟でいた。



つづく

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