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放浪王子と引きこもり姫の追放社不結婚  作者: 熊出
第十二章・父親期ミルド国奪還編

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「王の器とはなんだと思う?」

 ミルドの第一王子アルトは、両手を縛られ立たされていた。

 その口に、異形の者が食事を運ぶ。

 女性、だろうか。


「王の器とはなんだと思う。民のために自ら捕虜となった気高き王子よ」


 若い外見にそぐわぬ渋い声だった。


「……善き王であることだ」


「違うな。泥水を啜ってでも脱出して再起を図る。それこそが王の器だ」


 アルトは黙り込む。

 それは重々承知していたこと。

 しかし民に被害がいったことで、決意が揺るぎ、今がある。


 所詮、クラフトとは違い文官の身であったかと思う。


「それでは、地下から這い出てきた我らには勝てない」


「地下……? そなたらは地下から来たと?」


「おかしいか?」


 滑稽そうに女性は言う。


「人間は大地を支配した。しかし海の底や地の底はまだ未開だ。そこに生命体が生きていたとしても、そなたらにはわからぬだろう」


 アルトはふっと微笑む。


「今後の参考にさせてもらおう」


「今後、があるとでも?」


 女性が冷たい声で言う。


「私は重要な外交カードだ。そなたらに知性がある以上殺せぬさ」


 嘯くように言ったアルトだった。



+++



 エミリーがメガネをクイっとあげる。

 ミルドの平原で、一同唖然としていた。

 信じられなかった。

 エミリーが今起こした現象が。


「どうです? 陛下。私自身は戦力にならない。しかし私と仙人様の混合機は立派な戦力だ」


 俺はエミリーの背を叩いた。


「とんでもない、立派な戦力だ」


 手のひらに鈍い痛み。


「女性にそう軽々しく触れる陛下は嫌いです」


 アイリンだった。


「お前はリーシェか。まったく奴といい潔癖が過ぎる」


 ボヤくように手を引っ込めた俺だった。

 新戦力を仲間に入れて、ミルド国境平定戦へ。



つづく



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