「アイリンちゃんとミリィちゃんを会わせたらどんな化学反応が起こるかなって」
俺達は山頂の小屋に導かれていた。
民達は転移魔法に動揺している。
アイリンが慌てて説明し、フレアはぼんやりと前を見ている。
「私が助けに行ければ良いのだがね」
苦笑まじりにスカーレットが口を開く。
「生憎、一人の階層に受け入れられる仙人は一人だけなんだよ」
「ミルドにも仙人がいるのですね」
「相当の変人だけどね」
先行き不安になる言葉だ。
俺は表情を引き締める。
「民を、お願いします」
「ああ、任せたまへ」
「それにしても、どうしてアイリンに向かわせると言う回りくどいことを? 直接ミリィに思念で教えても良かったのでは?」
「ああ、それはね、二つある」
スカーレットは指を二本立てた。
「まず一つ、寿命問題に直面している彼女にためらいを産むことが怖かった」
指が一本折られる。
「そして二つ、アイリンちゃんとミリィちゃんを会わせたらどんな化学反応が起こるかなって」
指がまた一本おられる。
俺はぽかんといていた。
「意図がつかめませぬ」
「君はそういう初心な手合いだ。可愛らしく思うよ。罪でもあるが」
罪? 混乱しつつある俺だが、思考を離した。
「まあ、民をお願いします。我々はハイラル国境の攻略に挑みます」
「クラフト様!」
民の中から一人、女性が駆けてくる。
「私もお連れください!」
「……危険な旅だ、戦闘能力のないものは連れていけない」
「私に、戦闘能力はございませぬ」
はっきりと、女性は言った。
「しかし、私の技術に、仙人様の知識が備われば、ミリィ様に近いような魔術の行使が可能になるかもしれない」
燃え上がるような赤い髪をした女性だった。
「そなた、名前は?」
静かな声で聞く。
「エミリー。エミリーでございます」
メガネのエミリーは、そう射抜くような目をしていった。
つづく




