「そりゃねえぜ」
道中、敵の一団と相見えた。
普通の人とそう大差はないのだが、角や翼など人間にはない特徴がある。
なるほど、異形と言うわけだ。
「陛下、指示を」
「期待してますぜ、陛下」
どうも地元に戻るとやり辛い。
まあ、俺のギフトは策謀なのだが。
「フレア、撹乱を頼む。アイリン、浮き足立った敵の気をさらに反らせ。私がとどめを刺す」
「そりゃねえぜ」
憤るようにレイヴンが言う。
「俺は留守番かい?」
「民にも護衛がいるだろう」
飄々と言う俺。
夫婦旅が長かったこともあり、外れていた国王のペルソナを再び被りつつある。
フレアが分身して敵に突っ込んだ。
同じ顔をした同じ動きの複数のフレア。
混乱が生じる。
そこに、アイリンの手裏剣の雨が降り注いだ。
敵の動揺が最高潮になったところで、俺は指輪を外す。
そして、一足で十二人の首を断った。
「大したもんだ」
側面に潜んでいたらしい一人をいとも容易く斬り殺しながらレイヴンが言う。
「彼らは本当にヴーンに肉薄する者なのか?」
あまりにも呆気なさすぎる。
「それは、今のあんたが化け物すぎるからだ」
レイヴンが呆れたように言う。
確かに、強くなったと言う自覚はある。
しかし、想像以上にパワーアップしたのかもしれない。
「国境へはそう簡単にはいかないですよ、陛下」
レイヴンも部下のペルソナを思い出したように敬語で言う。
「ハイラルへの国境は今、敵の幹部でも武闘派が支配しているらしい」
「一先ず、スカーレット殿に民を任せねばな」
俺は顎に手を当てて思案しつつ、敵の戦力をイメージし始めた。
+++
「ヒュリエルの気配が消えた」
男の言葉に、どよめきが起こる。
「ヒュリエルが? 嘘だろう? 俺達の中でも七指に入る実力者だ」
動揺が走る。
男は、静かに言った。
「おかしくはない話だ。ハイラルの国王クラフトは仙人殺し。仙人には我々も多少は手を焼くところだ」
「ハイラル王の帰還、か」
「だとしたら、ハイラル国境へ向かうだろう。今、ハイラル国境にはあいつがいる。そこで彼の旅は終わりだろうが……」
「念のため、俺が行こう」
刀を帯びた男が言う。
両側頭からツノが生えている。
「頼む、リヒエル」
男の言葉に、リヒエルは頷いた。
つづく




