「また陛下の力になります」
近隣の町を仕切っていたのがヒュリエルだったらしい。
一旦その町を解放できた形だ。
見慣れた顔があった。
「レイヴン、そなたが捕らえられているとは」
「俺も老いには勝てなくてねぇ」
ボヤくように項垂れて言うレイヴン。
アイリンがその拘束を取ると、彼は軽くぴょんと一つ跳躍した。
確かに、白髪が増えた。
「国に帰ったら驚くぜ。リーシェの嬢ちゃんもリディも今じゃヴーンぐらいなら単騎で倒せる。今の俺より強いだろう」
その言葉が、少し寂しかった。
レイヴンは沈みゆく太陽。
若者達に追い抜かれたのだろう。
「しかし、そなたが仲間にいるのは心強い。この町の捕虜達と共に移動することになるだろう。道中の護衛は多い方がいい」
レイヴンは顎に手を当てる。
「一旦、スカーレット様に預けた方が良かねえか」
「そなたにしては弱気だな」
「そうなのよ。犠牲を出さぬ自信がない。実際、ここで戦うと犠牲が出ると考えて、俺は本気を出せなかった側面もある」
まだまだ負けず嫌い。それでこそ、と思う。
「そうだな、人質に取られても厄介だ。一旦隣国に寄ろう。フレア、アイリン、レイヴン。戦力は整いつつある」
「また陛下の力になります」
「愁傷だな」
苦笑まじりに言う。
それにしても、リーシェ達もヴーンを単騎で倒せるようになったと言う。
なんと言うか、皆強くなってるのだなあと思う。
「しかし、多分驚くのは、殿下についてでしょうね」
「私の子か?」
意表をつかれ、目を丸くしたところにレイヴンは頷く。
「あれは、末恐ろしい子だ」
レイヴンは空恐ろしげにそう言った。
実感の湧かない話だった。
つづく




