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放浪王子と引きこもり姫の追放社不結婚  作者: 熊出
第十二章・父親期ミルド国奪還編

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「また陛下の力になります」

 近隣の町を仕切っていたのがヒュリエルだったらしい。

 一旦その町を解放できた形だ。

 見慣れた顔があった。


「レイヴン、そなたが捕らえられているとは」


「俺も老いには勝てなくてねぇ」


 ボヤくように項垂れて言うレイヴン。

 アイリンがその拘束を取ると、彼は軽くぴょんと一つ跳躍した。

 確かに、白髪が増えた。


「国に帰ったら驚くぜ。リーシェの嬢ちゃんもリディも今じゃヴーンぐらいなら単騎で倒せる。今の俺より強いだろう」


 その言葉が、少し寂しかった。

 レイヴンは沈みゆく太陽。

 若者達に追い抜かれたのだろう。


「しかし、そなたが仲間にいるのは心強い。この町の捕虜達と共に移動することになるだろう。道中の護衛は多い方がいい」


 レイヴンは顎に手を当てる。


「一旦、スカーレット様に預けた方が良かねえか」


「そなたにしては弱気だな」


「そうなのよ。犠牲を出さぬ自信がない。実際、ここで戦うと犠牲が出ると考えて、俺は本気を出せなかった側面もある」


 まだまだ負けず嫌い。それでこそ、と思う。


「そうだな、人質に取られても厄介だ。一旦隣国に寄ろう。フレア、アイリン、レイヴン。戦力は整いつつある」


「また陛下の力になります」


「愁傷だな」


 苦笑まじりに言う。

 それにしても、リーシェ達もヴーンを単騎で倒せるようになったと言う。

 なんと言うか、皆強くなってるのだなあと思う。


「しかし、多分驚くのは、殿下についてでしょうね」


「私の子か?」


 意表をつかれ、目を丸くしたところにレイヴンは頷く。


「あれは、末恐ろしい子だ」


 レイヴンは空恐ろしげにそう言った。

 実感の湧かない話だった。



つづく

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