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「生きていれば、良いけど」
リーシェは腕を組んで階層を見つめていた。
国と国を隔てる結界。
これが今、異形を押し留める壁だ。
「クラフト陛下は戻っておいでになるかな……?」
リディが不安げに言う。
「あの二人がいれば、どんな敵だろうと勝てそうな気がする」
リーシェは前だけを見て言う。
「けど、レイヴンも……」
リディの声は震えていた。
親友の気持ちを察し、リーシェは彼女に視線を向ける。
「大丈夫よ、敵には知能がある。ミルドの貴族のように捕虜にされるはず」
「生きていれば、良いけど」
リーシェは前を見て思った。
(アイリン、まだか……)
本当ならば、突入してしまいたいようなもどかしさがあった。
遠くへ行った主君は、まだ帰ってこない。
彼ならば。
彼ならばこの苦境をも覆してくれそうな気がするのだ。
しかし、その瞬間はまだ先のようだった。
つづく




