「何か目的があるのか……?」
随分と走った。
その間、国の様子を聞いた。
ハイラルまで戦火が飛んでいないことは聞いていた。
「国境は臨戦体制ではありますが」
沈んだ表情でアイリンは言う。
「他の周辺国も無事なのか?」
「どうも、異形達はミルド首都を目指して集結していたようなのです」
「兄上が生きていると言うことは知性があると言うことだ。何か目的があるのか……?」
戸惑うしかない。
「陛下の知略と策謀でもわかりませぬか」
「まず異形の者が湧いて出たと言うことが大隔絶の後からないのだ、仕方あるまい」
まるで見当がつかなかった。
「目的は魔法技術か? 土地か? 思い浮かぶことはあるが、交渉はできぬのか」
「できていたら今頃兄君は解放されていましたよ」
「ううん、本当難しくなって来たな」
そして、ふと、横を走るホムンクルスの少女に聞く。
「そなた、何か、思い当たる節はないか?」
無視される。
「陛下が話しかけているのですよ」
アイリンが嗜めるように言う。
こいつはこいつで俺の盲目な信者だから困る。
それを、俺は嗜め返した。
「ここはハイラルの外。俺もただの男だ」
「……私に聞いてる?」
ホムンクルスの少女が首をかしげる。
「ああ、そうだ」
「判りづらいから、フレアと呼んで」
「じゃあフレア、フレアに思い当たる節はあるか? 魔法全盛期から生き残る仙人に作られたのだろう?」
フレアはしばし黙り込む。
そして、小さな口を開いた。
「情報に一致する物があった」
「それはなんだ?」
「帰巣本能」
「帰巣本能。鳥とかにある、というあれか」
その発想はなかった。
俺は思考を広げ始めた。
つづく




