76 大学生は怠惰な生き物なのねん
さて、突然だが皆様は燃え尽き症候群というものをご存じだろうか?
アメリカではバーンアウトと呼ばれ、五十年も前に提唱された概念であり、それまでモチベーション高く何かに取り込んでいた人が、成果を得られなかったり、逆にそれを成し遂げてしまったことで物事にやる気を無くしてしまう症状のことを世間一般ではこのように呼ぶらしい。
これは様々なことに取り組み、かつ強制力、義務感の働きづらい大学生というモラトリアムには非常に起こりがちな症状である。医学的にはうつ病の一種とされ、立派な病気の一つとして認識されている。
十二時十五分。
つまり人気の少ない平日昼下がりの学生寮の自室で、俺が今起床し、その後もうだうだと大学に行くのを渋っているのも、哀れな病人として何ら非のない行動であると言えよう。
「やれやれ」
俺は肩を竦め、頭を振る。
入学早々やどかり祭実行委員会として、かの一大イベントを作り上げた俺にはこのまま優雅にモーニングコーヒーと洒落込む権利があると思われるが、そうは言っても大学生。残念なことに勉学が本分と言えなくもない。
仕方なく俺はその本分と昼食を果たすべく、寝間着を脱ぎ捨て外出の身支度を整え、部屋を出る。
「おっ」
「む?」
学生寮の自転車置き場で、イケメン面と対面する。見慣れても不快だが、今ばかりはやどかり祭を共に作り上げ、同じ症状に罹患している同志と感じ入らなくもない。
俺達は顔を見合わせ、互いにふっと微笑む。
「よう、八代。お前も今から大学か」
「そうだとも細谷。まったくあれだけのことを成し遂げながら勉学に勤しまんとする自分に頭が下がる思いだ」
「まったくその通り。自分達の高潔さに恐れ慄かんばかりだ」
ハハハッと爽やかに笑いながら自転車に跨る。
「そう言えば飯は食べたか?」
「当然まだだ。どこに食いに行く」
「うーむ、そうだな」
爽やかに風を切りながら、俺達は朝食兼昼食に思い馳せながら愛機を駆るのだった。
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