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大学生は頭が悪い ~アットホームなサークルです。笑顔が絶えないバイト先です。懇切丁寧に指導する大学です~  作者: ノーパクリ・ノーオマージュ
1限目  やどかり祭実行委員会 ~ やりがいのある仕事です! 未経験者大歓迎m9(^Д^) ~
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72 神輿


AM9:00 アンダー体芸食堂 やどかり祭実行委員会 神輿作りスペース


 負けられない戦いがここにある。


 朝一仕事を終え、なお意気軒高。気炎万丈。


 先輩方の心遣いを胸に、俺達はかつて(一昨日)の戦場に足を踏み込む。

 そこにはかつて(体感一昨日以上改め実寸昨日AM)の戦友達が、続々と集結しつつあった。


「おー、お疲れ」

「お疲れー」

「お疲れ様」


「「「お疲れー」」」

「お疲れ様ですー」


 同じ修羅場を潜り抜けた者同士。奇妙な連帯感で結ばれた俺達は気軽に挨拶を交わす。例え名前など知らなくとも。


「おー、お疲れー」

「お疲れさまー」


 声を掛けられ、見ればAと夏海ちゃんが軽く手を挙げて俺達に向かって歩み寄ってきていた。お疲れーと俺達も返せば、Aが話し掛けてくる。


「良く来れたな。総計、修羅場で死んでたから来れないかと思ってたわ」

「いや、ホントそれな。正味、三十分前まで俺達も来れないと思ってたわ」

「なにそれ」

 マジな感想だったのだが、冗談に聞こえたか。夏海ちゃんは楽し気に笑った。


「そう言う本企は大丈夫なの?」

「まー、大丈夫ではないよね」

 七瀬の問い返しにAは苦笑気味に答えた。ですよねー。


「でも、ま、そこは先輩方がね」

「やっぱり? うちも同じく先輩方が」 

 Aが笑い、七瀬も笑う。そして、その場の全員も。


「負けられないな」

 思わず言っていた。さっき、似合いもしないとわかったっていうのに、また。


「そうだね」

「うん、負けられないよね」

 でも、本企の二人が同意してくれる。


「またやってる」

「うむ、相変わらずクサイ奴だ」

 だというのに、まさかの七瀬&ダサメン身内切り。い、いい言われんでもわかっとるわい!


「ほ、細谷さん! 私も負けられないと思うです!」

 ゆずちゃん……君だけが総計一年唯一の癒しだ。


「ま、同意だけどね」

「先輩方の心遣い、無駄にするわけにいくまい」

「だったら最初から同意しろよな!?」

 なんなの、こいつら!? 俺を貶めずにはいられないフレンズなの!?


「アハハ、面白いね。総計メンバーって」

「仲が良くて羨ましいね」


「「「いえ、全然仲良くないんで」」」

「仲良しですー、え!?」

 不名誉なAの発言を三人は否定するものの、それが被り夏海ちゃんはますます大笑い。クッ、こんな辱めを受けるとは。


「っと、そろそろ時間か。それじゃ、始めるからよろしく」

 言って、Aと夏海ちゃんは神輿の方に歩いて行った。



「はい、ちゅうもーく!」

 猿、他本企局員がパンパン手を叩き、そこかしこで騒めいていた全員の注目を集める。

 そして皆が静まったのを確認して、本企局員はAに視線を送る。


「いや……めっちゃやりにくいんだけど」

 半ば冗談、半ばガチで言うAに俺含め何人かが笑う。


「そーいうのいいから。時間ないぞー」

「いや、お前が言う!?」

 猿、お前が言うな、により大きな笑い。皆の反応に若干緊張がほぐれた様子のAは頭を掻きながら話し始める。


「さて、皆、本当に忙しい中、集まってくれてありがとう」

 ハハハ、本当に忙しい中さ。生ける屍達は苦笑や乾いた笑いを思い思いに浮かべる。


「あと、今までもクソ忙し中、神輿作りを手伝ってくれてありがとう!」

 フフフ、ホンそれな。まさか花の大学一年生ほやほやでホームレスもどきの真似までして神輿作るとは思わなかったぜ。壊れたゾンビ共は渇き笑いしかできない。


 でも、とAは苦笑いをやめ、


「皆のお陰でこの通り」

 Aの手振りに合わせて、本企局員が神輿を覆っていたブルーシートを取り去る。


「「「「「「「おおおおおおおーーーーーーーーーー!!!」」」」」」


 明るい場で初めて公にされた我らが神輿の全貌。その完成形に、全員が声を上げた。


 四方に配された大きな貝殻。その前面は上にあげられ、その中で幾匹かのヤドカリが楽し気に戯れている。自分達事ながら、よくこんな複雑で手間暇かかる神輿を作ったものだ。


「いやーホント、やってやったよな」

 その出来栄えを見ながら、Aは楽し気に、本当に楽し気に笑った。それを見る俺達も、同じような顔をしているんだろう。


「ここまでやった。やってきたんだ。負けられないよな?」


「当然」

 Aの語り掛けに真っ先に応えたのは、またしてもお前が言うなのサル。でもまあ、


「負けてたまるか」

「負けられるか」

 ダサメンと声が被る不覚。


「いや、こんだけ苦労して負けるとかないでしょ」

 懐かしのH君? もそう仰っている。


「フフフ、ホントあれだけ手間暇かけて負けるとか。ねえ?」

 そこかしこで暗い笑い。あ、その笑い方、ちょっと怖いっす。怨念めいたもの漏れてるっす。これ、爽やかに行くとこじゃないっす?

 でも、マジ全面同意っす。あんだけ苦労して負けるとか……ないわー。


「それじゃ」

 Aが覚悟を飲み込むように大きく息を吸う。


「ここまで神輿を作り上げてきたのは誰だ!?」

 勿論、俺達。

「この祭りのために一番汗を流してきたのは誰だ!?」

 無論、俺達!

「この神輿で優勝するのは、誰だ!?」

「「「「「「俺達だろおおおおお!!!」」」」」」


 滾る衝動を抑えきれぬまま、俺達は叫び、腕を振り上げる。


「やってやろうぜ!」

「っしゃオラァ!」

「行くぞ!」


 思い思いに叫び、俺達は担ぎ棒に手を掛けた。


 ヨイヨイ! ヨイヨイ!! ヨイヨーイ!!!




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