64 ゴミ箱設置
AM9:00 平砂・追越共用棟前
「あんた、講義はどうしたのよ!」
想定通りの第一声。予想通り過ぎて笑ってしまった。
「ブサイク共が任せておけってさ」
「え、そうなんだ? ……へー、今度お礼言っとかなきゃね」
どうでもいいけど、七瀬の中でもブサイクで通じるんだな。あいつら。
「それで? 俺は何をすればいい?」
仕事は山とあるだろうが、その中で今すべきことは何か、俺は確認する。
「幸いなことに今日明日は絶好のお祭り日和! 雲一つない快晴だそうです♪」
「あ、ああ。それは良かったけど」
答えになってないゆずちゃんの謎発言に俺は首を傾げる。
「だから、もうゴミ箱や電工ドラムの会場設置を進めても問題ないようだ」
「そういうことか!」
ダサメンの補足にゆずちゃんの発言の意図を理解して、俺は強く頷く。
「ってことで、私達一年組は、まずゴミ箱の設置行くわよ」
「了解!」
ヤドカリネーム姉貴に付き従って、俺達はゴミ箱が保管されている共用棟に向かった。
「どうしてこうなった」
想定外の事態に俺は思わず呻く。
「え、なんか言った?」
「いいえ、なんでもございません」
きらきら武士の問いかけに俺は首を横に振った。
とりまゴミ箱設置進行、オッケー。
で、設置箇所は全部で8ヵ所もあり、会場も広いからそこそこ距離もある。となると、東回りと西回りに手分けした方が早い。オッケー。
そして、設置場所とか詳細は美化担当が把握してるから、美化担当がそれぞれに分かれた方がよい。オッケー。
となると、机椅子担当も一・一に分かれてそれぞれ手伝う。オッケー。
グッパ結果のチーム分け。ゆずちゃん、ダサメンペアと七瀬、俺ペア。ハイ、アウトー!
講義をぶっちしてまで手伝いに来た俺へのこの仕打ち。
神様、私はなにか悪いことをしましたか?
心でシクシク泣きながら、俺は黙ってゴミ箱の乗った台車を引く。
「でもま、なんというか」
ふいに七瀬がそっぽを向いたまま声を掛けてくる。
「助かったわ。あんたが来なきゃ、二手に分かれないでやるか、どっちか女子一人でやらなきゃいけないところだったから」
「へっ?」
思わず間抜けな声が口から洩れる。
「さ、時間ないし、さっさと行きましょ」
そんな俺を置いてきぼりに、身軽な七瀬はズンズンと進んでいってしまう。
「ちょ、待てよ! こっちは台車引いてるんだから、そんなペースで行けるかっての!」
「あーもう、時間ないんだからさっさと行くわよ」
理不尽を繰り返す七瀬。
「無理だっつーの。何だお前。照れてんの?」
「うっさい、ぶっ殺すわよ」
「はいはい、すんません」
いつもより心なしか怖く感じない凄みに、俺は笑いながら七瀬を追いかけた。
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