63 そろそろあいつらの名前くらい覚えたほうがいいかもしれない
大学の勉強って、なんの役に立つんですかね?
始業のベルの前、俺は世界の真理を悟った。
やどかり祭実行委員会・総合計画局・一年四人組。
俺達は共にここまでの期間を乗り切り、講義も交替出席・代返で乗り切ってきた。しかし、それももう限界のようだ。こうして講義室にいながらも心ここにあらず。
今日は準備日当日。
神輿もついに今朝方完成、他もここまですべきことは片付けたはずだが、それでもあれもこれも、終わっていない業務が脳裏を飛び交い、危機感しか覚えない。
行かなければという焦燥感が俺の脳を焦がす。
だが! だが、それでもここはあの三人に俺が任された戦場! そこを放棄していいのか!?
葛藤に苛まれる俺は、ふいに肩に何かが置かれる感触に顔を上げた。
「俺達に任せておけ」
見上げれば、見慣れたゴリラが見慣れない微笑みで俺の肩に手を載せていた。
「……いいのか?」
予想外の申し出に、俺は目をパチクリして、ソフモヒゴリラを見返す。
「いいから行ってこい。仕事があるんだろう」
まさかのブサイク金髪が、似合いもしないことを言ってくる。
「どういう風の吹き回しだ?」
未だ信じられない心持ちで俺は問いかける。
「代わりに今度、七瀬さん達を紹介しろよな!」
バチコーンとサムズアップでウインクをかましてくるブサイク金髪。
「って、それが目的かよ!」
「ふん、当たり前だろーが! 誰が見返りもなしにお前達の手助けなどするか」
台無しだよ、このクズゥ!
「ほら、行って来いって」
憎まれ口ブサイクの横で、苦笑いするソフモヒゴリラが俺の肩を押してくる。怪力ゴリラのくせして、その力はいつになく優しかった。
「ああ、ありがとよ」
俺は笑いそうになるのを、何とか口元だけにとどめて立ち上がった。
「礼なぞいらん」
「そうだ。礼なんていいから七瀬さん達によく言っとけよ、バカ!」
「誰が言うか、バカ!」
捨て台詞を残して、俺は走り出す。
「アホな生き物、せいぜい死ぬな」
着席したままのモヤシの後ろを走りすぎた時、そんな声が聞こえてくる。
まったく、色々台無しだよ!
でもまあ、七瀬達に講義はどうしたのか聞かれたら、バカ達が代返してくれたってことくらいは伝えておくか。
あと、そろそろあいつらの名前くらい覚えたほうがいいかもしれない。
でも、こいつらの名前これからも出るかなあ……
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