52 ブラックサークル
「で、やどかり祭実行委員会の正体ってのは、どういうことだ」
ブサメン、ブサイク問題が一区切りついたので、ようやく俺は自身にとっての本題を問い詰める。
「ああ、それはな」
ニヤリと人も顔も悪い笑みを浮かべるブサイク金髪。ああ、やっぱりブサイクだなあ。
「超絶ブラックサークルということさ」
「「……なに?」」
ブサイク金髪のブサイクさすらどうでもよくなる衝撃発言に、俺達は低い声で問い返した。
「やどかり祭実行委員会は、我が大学中で一、二を争うブラックサークルだからな。その過酷な労働環境。それを絶賛身に染みて感じている最中なのだろう?」
ニヤニヤと底意地の悪さしかないブサイク笑顔。
ブラック。ブラック企業。労働環境のあれこれが取りざたされる昨今、ニュースでもよく聞くようになった単語ではあるが、それが大学のサークル活動にまで……?
……言われてみれば、心当たりしかないぞ。仕事としか言えない業務の数々。講義時間外労働を前提とした組織形態。休日出勤も当たり前。極めつけは低賃金どころか無賃金!
おいおいおい! そもそも保険、労災ってあるんですかね!?
「ようやく理解したか? お前らが入った組織がどういうものであるのかを」
ダラダラ冷や汗を流す俺達の前、ブサイク金髪はご満悦な様子だ。
……待てよ?
「貴様、このことをいつから知っていた?」
「無論、勧誘される前から」
してやったりと、今日一ブサイクスマイル。
「「きっ! 貴様ぁああぁあああああああーーーー!!!」」
思い起こせば俺達がエンジェルに勧誘されたあの日。
どうして女に縁もゆかりもなさそうなこいつらが、あのエンジェルの勧誘を断り、あまつさえ俺達の入会を後押ししたのか。
今思うまでもなく不自然さしかないが、勧誘されたサークルがブラックであるという本事実を念頭に置けば、その理由は疑いようもなく明らかだ。
「貴様、俺達を生贄にしたな!?」
「ネットでほとんどのことが調べられるこの情報化社会。そんなことも確認せず、ノコノコ鼻の下伸ばしてついてくお前らが迂闊なのさ、この情報弱者共」
否定も悪びれることもなく、ブサイク金髪は嫌らしい笑みを深めるのみ。
「「グギギッ」」
こいつ、どうやって殺してやろうか?
様々な処刑方法を脳内で高速想起しながら、俺達は残り二人にも殺意の視線を振り向ける。
「お前らも知っていたのか?」
「「知らない」」
ソフモヒゴリラfeatモヤシズ ディナイ。
「嘘をつくな! この事実を知らずに、一体どうしてあのエンジェルの誘いを断れるというのだ!?」
「なんのメリットもなく、あんな女がお前達に近付いてくること自体おかしい」
「「「「グフゥッ」」」」
俺達だけでなく、モヤシ以外の全員にクリティカルヒット。
「思った通り、あれはメスの捕食行動。逃げて正解」
「「……ククッ」」
辛い事実に俺達は机を涙に濡らす。
あれが、あの笑顔が罠だったなんて。嘘だと言ってよ、エンジェル!
――それでも。ああ、それでも。俺は、マイエンジェルを憎めない。
「お前もか?」
打ちひしがれる俺に代わって、ダサメンが最後のソフモヒゴリラに確認する。
「あー、俺は何というか特に理由はないんだが」
ソフモヒゴリラは防御力の低そうな極短髪をポリポリ掻く。
ふざけるなよ?
だからお前みたいな類人猿がなんの理由もなく、あのエンジェルの誘いを断れるはずが
「なんというか……勘?」
「「野生の力ァーーーーーーーーーーーーーーー!!!」」
俺達は力いっぱい机を叩きつけ、類人猿以下の自分達の危機察知能力に号泣した。
ゴリラですらハニートラップに掛からないというのにお前らときたら。
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