49 俺達は歩き始めた。この果てしなく遠い男坂をよ
「ちなみに現場確認は講義時間中だが、講義をやっていない時にするんだぞ」
……はい?
肉だるま先輩がまたなんか言い出した。
「ちなみに現場確認は講義時間中だが、講義をやっていない時にするんだぞ」
筋肉先輩テイク2。オウムかな?
ハハハ、一行で矛盾するなよ。小学校から国語をやり直していただけませんかね?
「新手のとんちですか?」
ダサメンもお手上げ気味だ。
「当然、講義をしてる講義室は現場確認ができないからな。講義をやっていない時に現場確認を行うというわけだ」
肉だるま先輩補足。
わかってんだよ、そんなこたあよう!
あー、なんつう縛りプレイの重ね掛け!
チェックメイト・キングセブン! メディック! メディーック! ますますお手上げじゃないか!
「……講義室の使用状況一覧はあるんですか」
もはや溜息も出尽くしたが、諦めの嘆息交じりに俺は問う。
「警備員室挨拶の時に貰えるがな」
「正直、終盤までは役に立たんぞ」
「というと?」
ダサメンが先輩方の発言意図を確認する。
「なにせ回る講義室数が多いからな。いちいち自分の講義空き時間と空いてる講義室を確認して、タイムスケジュール組んでなんてやり方をする担当は歴代でも稀だ」
肉だるま先輩ズ アンサー。
「歴代でそういうやり方の担当も、いなかったわけじゃないがな。大抵の奴は行ってみて、空いてる講義室を回れるだけ回ってを繰り返して、残りが少なくなってきてからようやく空き状況を確認して詰めるって方式だな」
筋肉先輩ズ リプライ。
ザ・脳筋プレイ。まさに先輩巨漢タッグぽいプレイスタイルだ。
でもまあ、確かに緻密にスケジューリングするやり方もあるんだろうが、聞いた感じそんなまだるっこしい手間かけるよりはやってみるほうが早そうだ。
「まあ、いろいろ言ったが後は習うより慣れろだ」
「そうですね」
筋肉先輩のまとめに、ただ頷く。
今更うだうだ言っても仕方ないし、こうなれば後はもうやるだけをやるだけだ。
「ってことで、これだ」
肉だるま先輩が机の下に手を入れる。
酒か!? こんだけ仕事のヤバさを羅列した上でも酒なのか!?
という俺達の慄きはありがたくも杞憂に終わり、机上に乗せられたのは大小2種類の紙の束。
「原状復帰図と机椅子シールだ。現場確認結果を記入するシートと机椅子に張るシールだな。今の話で分かったと思うが、現場確認は大変だからな。確認できる機会があった時は、少しずつでも片づけたほうがいい。この二つと筆記用具は、現場確認が終わるまで常に持っておいた方がいいぞ」
「……そうですね」
「ありがとうございます」
俺達は肉だるま先輩からありがたくそれを頂戴する。気分のせいか、受け取った瞬間、ズシリと非常に重く感じた。
「そんな顔するな」
先輩巨漢タッグは、珍しいことに困ったような笑みを浮かべた。
「これまで俺達の酒についてきたお前達だ」
「お前達ならできる。自信を持て」
「「……先輩方」」
先輩達の酒が、常人には苦行だって自覚はあったんすね。
どうでもいい新たな発見を胸に、俺達は歩き始めた。この果てしなく遠い男坂をよ。
「あと今日は現場確認終わったら、神輿の手伝い行っていいぞ」
……ハッ、おかしいな。 どうして涙が止まらないんだろう。
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