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大学生は頭が悪い ~アットホームなサークルです。笑顔が絶えないバイト先です。懇切丁寧に指導する大学です~  作者: ノーパクリ・ノーオマージュ
1限目  やどかり祭実行委員会 ~ やりがいのある仕事です! 未経験者大歓迎m9(^Д^) ~
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46 机・椅子担当略伝 序章


 オー、想定通りのォ、天国と地獄ゥ(ナレーター:若〇)。


 予想された事態ではあったが、改めてこうして現実になってみれば予測以上の悲しみの落差に涙を禁じ得ない。


 談話スペース奥側。

 美化担当の引継ぎスペースは、まさに秘密の花園。マイエンジェル&マザー。そこに七瀬&ゆずちゃんの一年生タッグ。タイプの違う見目麗しい女子だけが集まるその様は禁じられたエデンの園。まるでどこぞの女子校のような雰囲気だ。


 対して、談話スペース手前。

 今俺がいるスペースは、魔界。筋肉先輩に肉だるま先輩。そこにダサメンとロンリーウルフな俺。男子校でももう少しマシではないかと思える暑苦しさと悲しみが場を支配している。



 断固譲るべきじゃなかった! 


 どうして真のフェミニストたる俺は、男女平等を声高に叫び、黒ひ●様の未来予想図Ⅱに決定を委ねなかったのか。

 室温が五度は上がり、大気中の癒し成分が霧散したようこそ男の世界で、俺はシクシクと涙に頬を濡らしていた。


「どうした? 大丈夫か?」

「まったく男が泣いていいのは、親の死に目と酒がない時だけだぞ」

「そんなの聞いたことありませんがっ!?」

 とんだアル中発言に、思わず突っ込む。


「よし、細谷も元気になったようだし、話を始めるぞ」

 その隙に、するりと筋肉先輩が話を始める。畜生。


 あれ? でも俺はともかくダサメンは? と、右隣を見れば、ダサメンははい、と平静に肉だるま先輩が差し出すプリントを受け取っている。その顔に悲しみの色は薄く、どこか安堵しているようにすら映る。

 俺の視線に気付いたか、ダサメンは俺を見返してくるとフッと笑った。


「悔しい、嫌、なんだがな」

 なに語りだそうとしてんの、こいつ?


「気付いてしまった。落ち着くな、女がいない空間は。男子校生活を送ってきた俺にとっては、男だけの場所が安心して呼吸できる世界だ」

 諦めの厭世的な笑みで、ダサメンはプリントに目を落とした。


 ……うわぁ、キモ。これが拗らせた童貞ってやつか。うん、下らないことは無視してさっさと話を進めてもらおう。


 俺も筋肉先輩からプリントを受け取り目を落とす。曰く、「机・椅子担当略伝」。なんだ略伝って……バカ?


「さて、担当も決まったところで、いよいよ総合計画局の仕事が始まる。ついては、手始めに引継で机椅子担当の仕事の概略を説明しよう」

 筋肉先輩が意気揚々と語り始める。


「まず総合計画局の仕事は何度も言っている通り、当たり前の祭りを作り、終わった後には当たり前の日常を戻すことだ。となれば、机椅子担当の仕事は何か、当然わかるな?」

 かと思えば、急にこちらの回答を求める。どうやらただ眠気を誘うだけの一方的講義をしてはくれないらしい。


「祭りに必要な机椅子を準備し、それを元通りの姿に戻すことですね」

 余計なことを考えていた俺より早く、ダサメンが答えた。人見知り、女見知りダサメンだが、筋肉先輩タッグには慣れ、女子がいない空間。調子はよく反応、口滑りも滑らかなようだ。

 ……女に興味津々な癖に女がいない時だけ好調とは、哀れな奴。


「うむ。その通りだ。この担当の仕事はその一言に尽きる」

 満足げに筋肉先輩タッグは頷く。


「では、その業務の流れを話そう。プリントを見てくれ」

 ピラリとプリントを掲げる筋肉先輩の言に従い、手元のプリントに目を落とす。


「まずプリントの一番上、①の現状確認だな」

 その前にふざけたプリントタイトルについて聞きたい気もしたが、黒ひげ危●一発の如くどうせ碌な話じゃないから我慢しよう。


「これは文字通り、借りる机椅子の現状確認だな」

「祭りで使った机椅子を元通りに戻すためには、元がどこにあったのか、どういう状態かの把握が必要だからな」

 ふむ、それは至極正論だ。



「「だから、使う全机椅子の確認を行う」」

 ……ふむ。正論だが、


「……その全部というのはいかほどの?」

 ダサメンが似合いもしないシリアスな声で尋ねる。それだよそれ。


「なーに、千はないさ」

 サウザンッ!?


「そ、その千はないというのは六百位でよろしいでしょうか?」

 肉だるま先輩の発言にダサメンも冷や汗だらだらで確認している。

 そうだな、肉だるま先輩の言い方的に四捨五入で千には入りそうだから、後はそれが限りなく五百側に近いことを祈るのみ。


「去年は、九百はいかない位だったか」

 パオッ!?


「きゅ、九百?」

 思わずオウム返し。


「「九百」」

 無情な巨漢タッグの繰り返し。


「確認するの? 全部?」

 信じたくない確認。


「全部」

 当たり前のような首肯。


「「NOォオーーーーウ!」」

 ダサメンと二人、頭を抱え天仰ぐ。


「ハハハ、まったく細谷と八代は愉快だな」

「まったくだ。いちいちいいリアクションをしてくれる」

 先輩巨漢タッグはほのぼのと笑っている。


 いや、そんな朗らかな顔したって騙されませんよ! 九百の現状確認ってあーた!


「まあまあ。言ってもそこまで大したことじゃない」

 筋肉先輩が動物を宥めるようにどうどうと手を下げる仕草をする。


「本当ですか?」

 疑わしさも露わに俺は問い返す。


「ああ。机椅子を借りる予定の講義室に入って机椅子の配置を確認。前の扉の内側に大体配置図が張ってあるから、それと実際の机椅子の配置、数があってるか確認・記録するだけだ」

 筋肉先輩の回答。


「昔はその配置図を手書きで書いてたりしたが、今は配置図と差がなければ、その配置図を写真撮ってプリントするだけだしな。違ったとしても、その配置図に余分な分を書き足し、少なければ配置図から少ない分を消すだけだ」

 肉だるま先輩の補足。


 そう聞けば、確かにそこまで大変じゃない、のか?

 まあ、少なくとも手書きだった頃に比べれば格段に楽そうだ。

 ああ、素晴らしきかな技術革新!


「ただ、その机椅子がどこのものかわかるようにシールが張ってあるから、それを全部確認。シールのないものは手書きのシールを貼る。置いてある講義室のシールと違う講義室シールが貼ってある場合は、実際に置いてあった講義室名を記入したシールを張るんだ」

 なんて人類の進歩に喜びを噛み締める俺を再び慄かせる肉だるま先輩のプラスアルファ追撃。


「「……はい?」」

「あと破損してる机椅子があったら、学生課に後でまとめて報告するんだぞ。破損がこっちの責任にされかねんからな」

「「はいいぃーーー!?」」


 結局、九百全部の机椅子を逐一チェックするってことですよね!? それ!


「「いやいやいやいや」」

 意味のある言葉も出せず、とりあえず身振り手振り、意味のないいやいやの連続で拒絶を表明する。


「ハハハ、ホントに愉快な反応をする奴らだな」

「まったくだ。そんなに心配しなくてもこの作業をする時間は、一ヶ月はあるから安心しろ」

「「一ヶ月!?」」


 おかしそうに巨漢タッグは笑ってるが、まったく楽しくないぞ!? 

 しかもさらりととんでもない時間制限を言いやがりませんでしたか、この先輩方!?


 恐ろしき鬼畜宣告に、俺達の背筋は震えた。

 




 ナレーションは「ぶるぁ!」なお方。御大のナレーションというとスクライドを思い出します。

 スクライドは名作。異論は認めない(キリッ)。

 1話の凝縮ぶりと、25話までを前置きにしたかのような最終話がマジ凄い。

 気になった方は以下略。


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