43 担当希望
「「美化担当を希望します」」
スッと手を上げ、瞬時に導かれし最適解が、ダサメンと被り、視線が交錯する。
瞬間、互いが互いの殺意を察する。その薄汚い手を引っ込めろ、下郎!
ギラリと瞳に殺意を滲ませれば、向こうも向こうで血走った獣の視線で睨み返してきていた。
このバカ者が! 我ら共通の目的を忘れたか!
「盛り上がってるところ悪いんだけど、私達も美化担当がいいんだけど」
「「なにぃ!?」」
さらにダサメンと反対の左からサイドアタック。振り向けば恐れを知らない七瀬はまたもジト目で俺達をねめつける。
「あとついでに言うなら、ペアもゆずで」
「「ダニィ!?」」
ゆずちゃんの手を取って、二人で手を上げる七瀬のお戯れに身を仰け反らせる。
なにせ七瀬の希望は、あまりに俺達のそれと相反している。
まず美化担当を七瀬達に譲ってしまえば、エンジェル&マザーとのキャッキャウフフな触れ合いタイムを失うばかりか、俺達の引継ぎは酒浸し巨漢タッグになってしまう。
加えて、七瀬&ゆずちゃんペアを認めてしまえば、俺は自動的にこのダサメンとコンビだ。
まさに俺達の総負け。量産型緑マンの自爆攻撃でズタボロ、情けなく手足折り曲げて死亡ニキレベルの全負けと言っても過言ではないだろう。
「なに? そんなにあたし達とペア組みたかったわけ?」
「ふ、ふざけるなよ?」
ペアの相手はゆずちゃん一択だったてーの!
グヌヌと俺は七瀬を見返すが、俺如きの眼光で七瀬が怯むはずもなし。ゆずちゃんはアワアワしてるし、ダサメン加勢しろと思うも、男子校卒ピュアボーイは照れて目も合わせられないクソチェリーっぷり。この役立たずが!
「せ、先輩!」
戦況悪しと見た俺は、古き良き伝統・年功序列で七瀬を押さえつけるべく、先輩方に救いを求める。
「うーむ、これは困ったな」
「こうなるとここは、あれの出番か?」
筋肉タッグはまるで困って無さそうに顎を擦りながら、謎の発言。
肉だるま先輩が机の下に手を伸ばし、見覚えあるその動作に俺達はファイティングポーズ。まさか、この人達お得意のまったく意味がわからんぞながらも、酒が全てを解決するバッカス信仰か!?
身構える俺だが、肉だるま先輩がその巨大な手で鷲掴みにして卓上に置いたのは、予想外のものだった。
安っぽいプラスチックの茶色い樽。その上に刺さるこれまた安っぽい眼帯をつけたおもちゃのおっさん面。
「●ひげ危機一発?」
遥か昔、見覚えのある商品名を俺は疑問形で口にした。
「うむ、その通りだ」
いや、その通りだってあんた。
「総合計画局内の担当決めで揉めた時に使うらしいのよね」
こんなもんどうすんだという俺の顔色を読み取ったらしいエンジェルが、苦笑しながら補足してくれる。
「え? 黒●げで?」
ダサメンが素の疑問形。うむ、お前の心情などわかりたくはないが、その疑問はよくわかるぞ。
「そうバカにするな。これは我が局に代々伝わる由緒正しき最終決定装置だぞ」
「ああ、どうしても担当が決まらない時、局長が決まらない時、代々こいつが最終判断を下してきたんだ」
局長ってあーた。総合計画局のトップってことだよな? そんなもんをこんなもんで決めていいのか?
思わず先輩ということも忘れ、HAHAHAと笑う巨漢タッグを指差し、エンジェル&マザーに目で問いかけるも、困ったように笑いながらもコクリと頷く。え、マジで言ってんの?
「なにせ俺が局長になる時も、肉だるまとこれで決めたからな!」
筋肉スマイル&サムズアップ。
オーマイガ! ここが変だよ日本人!
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