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大学生は頭が悪い ~アットホームなサークルです。笑顔が絶えないバイト先です。懇切丁寧に指導する大学です~  作者: ノーパクリ・ノーオマージュ
1限目  やどかり祭実行委員会 ~ やりがいのある仕事です! 未経験者大歓迎m9(^Д^) ~
43/85

42 担当


 変なテンションで逃げ出した講義室。

 その後にやってくるのは、もはや恒例となりつつある1C棟3階談話室だった。



「それで神輿の方はどんな様子だ?」

 天気の話題のように開口一番、筋肉先輩が確認してきた。


「なんやかんやありましたけど、とりあえずまとまりました」

「コンセプトは昨日、固まりました。今はデザイナーの設計待ちです」


 俺と七瀬の回答に、エンジェルがエンジェリックスマイルを浮かべる。


「コンセプトにデザイナー。随分期待できそうね?」

 どこか挑発的でありながら、その裏の嬉しさを隠しきれていない確認。


 それに俺達、1年4人は顔を見合わせ、ニッと笑った。


「バッチリです」

「期待しててください」

 ダサメンと俺はサムズアップした右手をグッと突き出す。


「ほう、自信満々だな」

 楽し気に、嬉し気に、肉だるま先輩もニッと笑みを深めた。


「それはもう」

 言いながら七瀬はゆずちゃんの背後に回り込み、


「うちのゆすが提案したコンセプトですから」

 自慢するように、可愛がるように、ゆずちゃんをギュッと抱きしめた。


「あ、葵―」

 二重の意味で恥ずかしがりながら、ゆずちゃんが目をバッテンにする。


「へー、ゆずちゃんが!?」

 驚きながらも嬉しそうに、マイマザーは胸の前で掌を合わせた。


「本当か!?」「それは凄いな!」

 巨漢タッグも、驚きながらもお祝いムード。


「凄いじゃない。おめでとう、ゆずちゃん」

 からかっているようで、心からの賛辞にエンジェルが手を叩くもんだから、その場にいる全員が乗っかって拍手喝采。


「い、いえ、そんな」

 ゆずちゃんはぷしゅーと顔から湯気が出そうなほど赤面して、小さく縮こまった。


 そんなマスコットなゆずちゃんの様子に皆はますます笑顔、ますます拍手万来。

 おめでとう。おめでとう。おめでとう。ありがとう。


「さて、それじゃあ神輿が順調なところで、総合計画局の仕事だ」

 恥ずかしがるゆずちゃんを一頻り愛で終え、全員が横長のソファーに着席した後、筋肉先輩は本題に入った。


「1年の担当する仕事は覚えているか?」


 確か部局説明会の時に言っていたな、なんて思いながら我らが特攻隊長の回答を待つが、期待した声はない。

 訝しりながらそちらを見やれば、君に決めたはずの七瀬は、むしろあんたが言いなさいよとばかりに俺を見返してきた。

 なんだ? 試してるつもりか? ふざけるなよ? 俺のゴールデンな記憶力を見せつけてやろう! ……あれ? なんだっけ?


 い、いや、違うんですよ? ほら、受験はクリアしてるわけですし、記憶力はありますって。ただね、ほら。ずっとお酒飲んでたから。頭が悪いんわけじゃないんですって。全部お酒が悪いんですよ! ああ、でも僕は彼を憎むことはできない。


「はい、机椅子担当と美化担当です」

 なんて俺が思考のラビリンスに迷い込んでいる間に、ゆずちゃんがピョコンと手を挙げて答えていた。愛らしい。


「うむ、正解だ」

「流石、ゆず。良く覚えてたわねー」


 満足げに頷く筋肉先輩と横から抱き着いてくる七瀬にゆずちゃんは大したことないですよーと恥ずかし気に首をフリフリしてる。

 うむ、よくやってくれたぞ、ゆずちゃん!


 難を逃れ一安心していると、横の七瀬はゆずちゃんの頭に顎を載せた状態で、俺をジトーッとねめつけていた。

 おれはツイッと目を逸らし、矛先も逸らすことにする。


「そうなると、まずは担当決めですね?」

 机に肘をつき、組んだ両手に鼻先を載せた某特務機関総司令ポーズで、俺はシリアスに言い放った。


「うむ、まったくもってその通りだ」


 ほら見ろ! 俺だってやる時はやるんだぞ!

 ドヤァと七瀬を見返すも、既に七瀬は何事もなかったかのように正面の先輩方に向き直っている。

 こ、このアマ……!


「人数は二・二に分かれる感じですか?」

 ダサメンがいつになく低い声で確認をした。その物珍しい真剣さに、俺もハッと口を開く。


「そういうこと」

 エンジェルが軽い感じで肯定する。しかし、これはそんなに軽い話ではない。


 なぜなら、これから一緒にペアで仕事をしていくのだ。その相手がどれだけ重要であるかなど、高校までの席替えで答え合わせをしあう隣席が誰か以上に重要な話ではないか。


 事の重大さに、切っ先が尖るように神経が集中する。


 自然、細まる視線。これから担当決めという名のペア決めを行う一年の様子を横目で探る。と、初っ端で右のダサメンと視線が交錯した。


 瞬間、互いが互いの望みを察する。あっち行け、お前。


 せっかくの男女混合チーム。であれば、何も好き好んで野郎同士ペアを組む道理はない。まずは、このクズをペア相手から除外すること。その一点で、初めて俺達の利害は一致した。

 ようやく理解しあえた俺達の口の端に笑みが浮かぶ。


「……机椅子担当と美化担当ですか」

 碇何某ポーズのまま、俺は思考を巡らせながら話す。


「どちらも力仕事がありそうですね?」

 ギラリと眼光鋭く、俺は正面の先輩方に視線を送った。

 ちなみに実際のところは知らん。ただ、自分達の目的に有利になりそうな材料を掘り起こすべくかまかけだ。


「うむ。確かにその通りだな」

「机椅子担当は机椅子を、美化担当もゴミを運ぶことがあるからな」


 ビンゴ! 巨漢タッグが肯定にウンウンと頷く。


「となると、男手は各担当、一・一に分かれたほうがよさそうですね」

 いつのまにか俺と同じポーズを取っていたダサメンが、鋭い視線でナイスアシストを決めてくる。フッ、やるじゃない。


「うーん、理想を言えばそうかもね」

 マザーが曖昧ながらも俺達の案をそれとなく受容。イエス、行ける!


「でも、最終的には本人達の希望かな」

 と思えば、まさかのエンジェル!? どゆこと!?


「まあ、そうだな。男手があるに越したことはないが、机椅子・美化のそれぞれが一番大変な時は、総合計画局どころか実行委員会全体で人手を割り当てるからな」

 ガッデム! 余計な情報を!


「で、でも、あるに越したことはないんでしょう!?」

 新たな情報の中で、自らの目的に資する部分のみを取捨選択・強調する。


「まあね。でも、歴代は結構そうなってなかったりするんだよね。例えば私と穂乃果は女同士で美化担当だったし」

 困ったことに利益相反なエンジェルリプライ。


「うむ、俺達も男同士で机椅子担当、美化担当は女子同士だったぞ」

 筋肉補強。


「やっぱり初対面なのもあるし、同性同士でペア組みたくなっちゃうんだよね」

 苦笑マザー。



 目的に反する余計な情報ばかり! 


 ……ではない!

 これは実に重要な情報ではないか。

 エンジェル&マザーが元美化担当。巨漢タッグが元机椅子担当。当然、担当が決まれば前担当から引き継ぎがあるだろうし、実務の上でわからないことは先代に聞くことになるだろう。


 それがエンジェル&マザータッグ or 筋肉&脂肪タッグ。まさに天国と地獄。






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