38 可愛い可愛い夏海ちゃん
振り向いた先に佇んでいたのは、可愛い可愛い夏海ちゃん。
「ありがと。助かっちゃった」
そして少し恥ずかしそうな、けれど裏表ないスマイルで、夏海ちゃんは片手を立てていた。
フォ、フォー!?
「い、いや。思ったこと言っただけだから」
思わずどもりながら、俺は謎に手を振ってしまう。
俺のバカ! どういたしましてとか、さらりと格好よく言えたらいいのに!
「そうなんだ? じゃあ、君って根っからのいい人なんだね」
悔いる俺の前で、素直に可笑しそうに笑う夏海の太陽は、マジでキュート!
「あれ、どったの?」
心はホット!
頭はショート!
応答ない俺を訝しむ夏海ちゃんは俺の顔を覗き込んでくる。近い近いっ!
「いやっ、そんなことないぞ」
ああ、すんなりと会話できないこの口が憎い!
「そうです! こいつは俺を撲殺しようとするような奴ですよ!」
自身へのもどかしさに打ち震える俺の横、唐突にダサメンが割って入ってきた。
「ぼ、撲殺?」
中々現実世界で聞くことのないだろうパワーワードに夏海ちゃんが見るからに戸惑っている。
貴様、黙れ!
目でダサメンを威嚇し、思ったままの言葉を口にしようとするものの、夏海ちゃんの手前、それは諦めざるを得ない。仕方なく俺は殺意の顔面でダサメンを睨むに止まる。
「そうなんです! 見てください、あの凶悪な犯罪者面を!」
指差すダサメンに俺は咄嗟に笑顔を作り、振り向いた夏海ちゃんとにっこりスマイルでご機嫌麗しゅう? ああ、ダサメンと違って癒されるなあ。
「あいつは頭がかわいそうな子なんです。そっとしておきましょう」
「え?」
俺の提案に夏海ちゃんが驚きの表情。マズい! 会話の選択肢を誤ったか!?
「誰の頭がおかしいんだ! おおん!?」
うるさい! 今はお前を相手にしてる暇はない!
「見ちゃだめですよ、バカが映ります」
ひくつく顔面に、俺は何とか笑顔を張り付け続ける。
「ああん!?」
ダサメンの不毛な威嚇、堪える俺。
挟まれた夏海ちゃんは何を思ったか急に声を上げて笑い出す。ホワイッ!?
呆気にとられる俺&ダサメン。
なんにせよせっかくの二人だけ空間が台無しだ!
どうやって夏海ちゃんの前で差し障りなくダサメンを排除しようかスパコン並みの高速演算をしていると、
「夏海ちゃん、ちょっといい?」
議論紛糾・喧々諤々会議にデザイナーは呼び出されてしまった。
「あ、うん。今行くねー」
夏海ちゃんは笑いで溢れた眦の泪を拭い、逆の手を振って答える。
そして俺達に振り向き、
「ゴメン、ちょっと行ってくるね」
可愛らしく片手を立てて、さよならしてしまった。
「「行ってらっしゃい」」
ああ、ああ。行ってしまう。可愛い可愛い僕の夏海ちゃんが……。
打ち合わせの輪、そこに夏海ちゃんが入っていき、背中も見えなくなり、俺は。
「貴様ぁ!」
「やんのか、おおん!?」
心置きなく、恨み骨髄のダサメン処理にかかった。
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