37 コンセプト
「よろしく。それじゃあ、デザインはとりあえずお任せでいいかな?」
Aが夏海ちゃんに最終確認をする。
「うーん、細かいデザインは任せてもらうしかないけど、コンセプトとか確認しなくていいかな?」
「コンセプトっていうと?」
Aの問い返しに俺も首を捻る。
今の擬人化・デフォルメ・リアル論争がそれでは?
「可愛い感じ、もしくは格好いい感じのデフォルメにしたいとかデザイン的な話とか。もっと言っちゃうと、どういうイメージで作るかとか、何を表現したいかとか」
そこまで突き詰めるか。思わず俺が思ったことと似たようなことを、どこかで誰かが声に出して言葉にしていた。
「あー、無ければ無いでいいんだけど。お任せにしてもらえれば適当に作るから」
夏海ちゃんは気を使って、両手を体の前でフリフリする。正直、こっちとしてはその方が楽だし、助かるだろうけど、
「そこまで一人に押し付けるってのは違うんじゃないか?」
今度は言葉に出てしまっていた。何人かが俺を見る。
「そうね。これは全体に関わる話だし、一人に押し付けるのは筋が通らないわよね」
今度は俺が驚く番。俺の発言に賛成意見を出してくれた脇の七瀬を見れば、よく言ったとばかりに笑っている。
ヤダ。なにこの人、格好いい。
「私もそう思います」
「同意」
さらにゆずちゃん、果てはダサメンまで。ゆずちゃんは両手をぎゅっとファイト、ダサメンはふんっとそっぽを向く。男のツンデレなんていらんぞ。
「総計はまとまってるな。俺も賛成に一票」
Aが笑いながら右手を上げる。
「女の子一人に押し付けはないよなあ!?」「そりゃそーだ」「当然だろうよ」「当然賛成」
猿、新入生H、モブなんとか、他女子やらなんやらもパラパラと同意を示してくれる。
「ってことで、皆、頭も疲れてるかもだけど、もう少し考えてもらえるかな?」
爽やかAの取り仕切りで、延長戦突入。
「寮生歓迎、仲良くってのがコンセプトなら、格好いいよりは可愛いじゃない?」
「禿同。大体デフォルメってほとんど格好いいより可愛いだろ」
「それな」
「そういや、やどかりってオスメスあんの?」
「アメーバみたいな雌雄同体じゃあるまいし、あるだろうよ」
「んじゃ、オスメスどっちにすんの?」
「可愛いならメスかなー」
そこかしこで意見噴出。ずっとこっちで勝手に話を進めてたから、皆、議論に加わりたかったのかもしれない。
さて、言い出しっぺの手前、俺も加わるかと意気込むが、くいくいと肘を引かれる感覚。
ドキッと驚きながらなんだ? と俺は感触の先を振り返った。
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