32 おおっと、頭を抱えてしまったー!
「何はともあれ、神輿のデザイン決めなきゃ、作業も進められないんじゃない?」
な、七瀬。お前は、この大人数を前にしても正面突破に躊躇いがないのか。そこに痺れる、憧れるー!
いや、マジ凄いわ。ここまで来ると尊敬の念すら沸いてくんね。
「まあ、そうだな。とりあえず、先輩の言ってたモチーフ決めるか」
流石に切り込み隊長一人に全てを背負わせるのは如何なものかなので、賛同の声を上げとく。
違うぞ、金魚の糞とかじゃないぞ!? これはアシストだかんね!
「そーだな。まあ、委員長の話的にヤドカリなのはほぼ確定っぽいが」
自己紹介を提案してたモブAも追随してくれる。ファーストコンタクトでも、こいつが結構進行役っぽかったので心強い。
「一応聞いとくけど、ヤドカリ以外で明確に作りたいもんあるやついる?」
モブAは場を見渡す。
まあ、モブA自身も言ってる通り本当に建前の確認だろう。細メガネさんがあんな風に言ってんだ。よっぽどの意気込みでもなけりゃ、それ以外の案なんて、
「はいはーい」
と思ったらいたよ、挙手する奴。マジかと思って注目してみれば、また君ですかモブZことお猿さん。
「……一応、言ってみ?」
モブAが嫌々猿に問い返す。うーむ、彼の反応からしても嫌な予感しかしませんぞ?
「俺、ガン〇ムに一票!」
お、おう、そうか。
引く俺の傍らで、ダサメンがおお! とか控えめに歓声を上げるが、お前もそっち側かよ。
「……その心は?」
モブAはさらに苦々しく猿に重ねて問う。
「え? 作ってみたいから? みんな好きじゃん、ガ〇ダム。お台場とかでも作ってたし!」
バカ丸出し。お前、頭の中がハッピーセットかよ。
俺以外の反応はといえば、ドン引き三、失笑三、爆笑三、その他一、ダサメン含むごく僅かの同調といったところ。
「えーと、お前、委員長の話聞いてた?」
みんなの反応:ドン引き、失笑、爆笑の三様をない混ぜにした複雑化学反応モブA。
「聞いてたに決まってんじゃん」
「んじゃ、伝統も聞いてたよな?」
「聞いてたけど、変えたければ変えていいとも言ってたじゃん」
「いや、そりゃそうだけどお前な」
「いいじゃん。俺達でやどかり祭実行委員会の神輿に新しい伝説を作ろうぜ!」
お猿、サムズアップ。その顔には曇りなき真っ新な笑顔。
おおっと、モブA! ここで頭を抱えてしまった! 蓄積されたボディブローが効いてますねー、これは中々苦しいですよ。何せ話が通じません。
「うんうん、自由に発想することこそブレーンストーミングの基本よね」
ここで伝家の宝刀、我らが切り込み隊長が推して参る!
セリフは意外や意外、お猿を受容するニュアンスのようだが……七瀬さん、その笑顔って?
え、えっとブレーンストーミングってなに? 食べられるんですか!?
「でも、意見出すにしてもキチンと考えたものじゃないと時間の無駄だから、考えてから喋ってね?」
こわあ! 七瀬さん、怖っ!
「ひゃ、ひゃい!」
言外の圧力に野生の本能が生命の危機を悟ったか。モブAの真っ当な問答をことごとく台無しにしてきたお猿が即時全面降伏する。
「ハハッ、君凄いね。猿渡を一発で黙らすなんて」
そりゃ、モブAも思わず賛辞で手を叩こうというものだ。というか、猿。苗字、マジで猿だったんだな。やっぱ猿は猿だわ。
「お褒めの言葉どーも。話が通じないバカにはこーした方がいいわよ」
おー、手厳しいお言葉。
「手厳しいことで。それじゃ、まずどうする?」
む、意見が被ったなモブA。
「話が逸れたけど、言ってた通りデザインをどうするかでしょ」
「そりゃそうだ」
初対面のわりに気安い応酬を交わす我らが特攻隊長とモブA。
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