30 モブABCDEFGHIJKLMN
秘密基地のような地下空間。
その少し先の建物角に、複数の人影があった。
「おー、お前らも入ったのか!」
俺達を見つけるなり、向こうから大声で呼びかけてくる。
誰だ、お前? と思ったもののこの空気お構いなしのうるささ覚えがあるぞ。こいつあれだ。説明会の後に真っ先に本部企画局に話聞きに行ってた猿だ。
「ええ、よろしくね」
怯える小動物ゆずちゃん、人見知り発揮ダサメン、物思いに耽る俺。
となれば、やはり先陣を切るのはドリブル突破力と安定感に定評のある我らが切り込み隊長七瀬。
「おう! よろしくな!」
いちいち発声の音量調整が狂ってる猿に続いて周りも同様の挨拶をしてくる。
適当に返しながらも、申し訳ない。
春は出会いと別れ。
出会いが溢れすぎて、もはや俺の鳥頭は限界、パンク寸前さ。とりあえず一年モブABCDEFGとでも思っておこう。
「それで今の状況は?」
現状確認の七瀬。
うむ、もっともだが、ちょい引っ掛かる。七瀬本人にそのつもりはないだろうが、同じ一年生同士なのに部下に進捗報告を求める上司的な空気間を感じるぞ。
「さあ? 俺達が聞きたいね」
その他大勢のくせに気障ったらしく肩を竦めるモブA。
「昨日は先輩に言われて部材を運んだんだけど、今日の指示はまだこれからっぽい」
うむ、可愛い子ちゃん。君はその他大勢じゃないよね? 名前プリーズ?
「今日になれば他局もある程度集まるだろうから、どっかで先輩が話に来るって言ってたぜ」
それっぽい情報。やるなモブC。誰か知らんけど。
「なるほど。それじゃ、その先輩待ちってことか」
「そういうこと。んじゃ、それまでの間に自己紹介でもしとくか?」
うーむ、もっともな提案だが、もはや俺のメモリーは容量限界なんだよな、モブA。あ、でもさっきの可愛い子ちゃんは別腹だぞ。
「あーここかー」
「わっかりにくいなー」
「お、先着さんいるじゃん?」
しかし、可愛い子ちゃんの名前を聞くよりも前に、俺達の後発組が新たにポップしてざわめきを増す。おいおい、今でもきついのにこれ以上増えるというのか、モブHIJKLMN?
しかも、俺達が交わしたのと同じ質問、受け答えのテイク2。仕方ないけど無駄情報、時間、手間だぞー。紙面埋めんちくりー。
加えて、やること不明、そのくせに人は一杯。もはや収拾不能。
誰がこのカオスを平定し、天下泰平を果たすというのか。
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