23 疑惑の物証
細眼鏡さんにそんな風に合図をされたところで、この状況で積極的に動き出せる新入生なんてそうはいないだろう。
「はいはいはーい! 俺、本部企画局に興味あるんすけど」
と思ったらいたよ、そんな空気お構いなしバカが。
「おお、いいぞ! ドンと来い!」
先程本部企画局の説明をした大男が胸を叩く。うるさいもの同士、気が合いそうだ。
と見ていれば、良くも悪くもそれを皮切りに、それぞれ思い思いに動き出す。
元々、一応興味を持って参加している者達。ほとんどが帰ることもなく、先輩方に話を聞きに行っている。
さて、となると俺はどうしたものか。
正直、アルコールも抜けきっていないし、中々の情報量と気疲れだったので帰ってゆっくり休みたい。
帰りにくい気はするものの、僅かとはいえ帰っている者もおり、隣に腰掛けていたダサメンもその流れの中。なるほど。
乗るしかない、このビックウェーブに!
「おー、細谷と八代。どこに行くんだ?」
と思った矢先に呼び止められる。
こ、この野太い声は。グギギと悲鳴を上げる首を振り向かせれば、予想通りの筋肉先輩。気付けば、その大きな掌が左肩に載せられている。
「まったく、お前達は総合計画局だろうに何をしてるんだ?」
肉だるま先輩はさも当然のように腕組して頷いている。
「い、いや、俺まだどこか決めてないんですが」
「そうなんですよ、いやー沢山の部局があるから目移りしちゃうなー!」
そもそもやどかり祭実行委員会に入るかどうかすら決めていない。
だというのに巨漢先輩タッグは、もはや昨日の通り昨日の如く顔を見合わせてキョトン。
「やだなー、二人とも昨日うちに入りたいって言ってくれたじゃない」
いつの間にか来てたエンジェル? そして何を言っているんだい、エンジェル?
と疑問顔で見返せば、エンジェルは嫋やかな指の間に挟んだ二枚の紙切れをヒラヒラと揺らしている。
「何ですか、それは?」
首を傾げる俺達に、エンジェルははい、と手の紙を見せてくる。おお、エンジェルプレゼンツ、セカン?
と歓喜に震えるも、汚えな。なんだ、このミミズが這ったような字は。
汚い手書きと別にプリンタで印字された文字は、確かにこう読めた。「入会・入局届出書」と。
んんっ?
この上なく不吉な予感を覚えながらも、暗号のような筆記を何とか解読する。
それぞれ印字に対して、
希望局:総合計画局・氏名:細谷将司。
確かにそう読めた。
なんだったらダメ押しに拇印らしきものまで押されてた。
「「ンンーーーッ!?」」
ダサメンと揃って疑惑の叫びを上げる。
「こ、これは一体!?」
身に覚えのない届出に狼狽せざるを得ない。
「覚えてないの? 昨日、総合計画局が楽しそうだから入ってくれるって二人が」
にっこりとエンジェルが宣った。
「「エエッ!?」」
驚きながらも必死に記憶を辿る。
しかし、そんなものは絶賛行方不明中。言われれば書いたような気がしなくもなくなくなくない? ううっ、思い出せん!
「覚えてないのか? 嫌だというのなら残念ではあるが無理には勧めんが」
「ともあれ、説明位聞いたらどうだ?」
意外にも先輩巨漢タッグが良心的な提案をしてくる。
「そ、そうですね」
こうして物証がある以上、無下にもしづらい。
いや、しかしそうは言っても。
「私と一緒じゃ、嫌?」
「「お話を伺いましょう」」
そんなわけないじゃないですか、マイエンジェル。
「よし、それじゃ、他の一年もいるからうちのブースに行こう」
筋肉先輩の誘導にハッとなるも、もはや後の祭り。
まあ、特に行きたい局があるわけでもなければ、マイエンジェル&マザーもいるらしい。躊躇いはあれど、誘惑が多いのもまた事実。
仕方なく、俺達はスゴスゴと先輩方の背に付いていくしかなかった。
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