↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バイト先が異世界迷宮だったけどわりと楽しくやっています  作者: 夏野 夜子
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
254/492

迷宮小旅行13

「ていうかこのすりこぎ、そのまま返すのってダメだよね。神様は料理用に使ってたっぽいもんね」

「モトモト料理用ダカラシテネ〜」

「買って返す……すりこぎの良し悪しとかわかんないんだけど、どうしよう。これどこのメーカーなんだろう」

「手作リシテソウダヨネ〜?」


 ボロボロのお社に住む神様が、部屋の隅でシャコシャコと木の棒にヤスリをかけている姿を想像した。神様、やっぱりちょっと貧乏なのでは。趣味ですりこぎ作る人あんまりいない気がする。

 やたらと手にしっくりくるすりこぎは初心者には作れそうにもないし、作って返すのも難しい。既製品で満足してくれるだろうか。ていうか、もし現役で使っていたすりこぎなら、いま神様困ってないだろうか。ちょっとした料理にすりごまオススメ的なこと言ってたけど。


「いやーユイミーちゃんってなかなか肝が据わってるよねー」

「なんですか急に」

「普通気にするのこっちじゃない?」


 サフィさんが指したのは「こっち」、つまりヘドロの方だった。

 デロデロと広がり続けているので、下がって距離を取る。


「そもそも何ですかこれ。なんか殴っちゃったんですけど」

「これが幻術作ってたんだよー」

「あ、さっきの?」


 坂道を下り終えて見えた賑やかな光景は、今はすっかり消えている。今見えている、薄暗くて岩ばかりの光景が本来の景色のようだった。


「幻術にかかってる人間に近付いて金品とか肉とかを奪い取ったり削ぎ取ったりするんだよー弱い生き物ほど卑怯な手考えるよねー」

「肉……削ぎ……?」

「ちなみにその辺でウロついてる魔道士は、肉獲られた人間を勝手に治癒して法外な金額を請求し、それを盾にヤバいことの仕事へ誘って仲介金をせしめてる小物だよ」

「なんか漫画のシシジマくんみたいですね……」


 いつの間にか闇金に借金できてるやつだ。

 古いローブのフードを深く被った人影が、サフィさんに指されて慌てたように逃げていく。ローブの人は何人かいたけれど、どの人ももれなくサフィさんに気付くなり慌てて方向を変えたり岩陰に消えていったりした。サフィさんが強い魔道士だからだろう。


「ていうかそんな危ないやつが近付いてるなら、教えるなり追い払うなりしてくださいよ」

「えーそんなことしたらユイミーちゃんの特訓が意味なくなっちゃうじゃん」

「ユイミーちゃんノ無双姿ガ見レナクナッチャウジャン〜」

「……」

「うわちょっと! その汚れ俺の服で拭く?!」

「フクダケニ〜?」


 しょうもない理由で助けてくれなかったサフィさんには、すりこぎの汚れを綺麗にしてもらう手伝いをしてもらった。ローブの布地は触ってみると高そうだった。シノちゃんは羽毛をボサボサにしておいた。

 も〜と言いながらサフィさんがパパッと手で払うと、ヘドロ模様がついたローブはスッと綺麗になる。


「すごい。ニンニク好きとはいえさすが魔道士ですね」

「ねえそれニンニク好きがマイナス要素みたいに聞こえない?」

「ユイミーちゃんモヤリナヨ〜」

『そうですっユイミーちゃんさまにもできますよっ! 浄化浄化っ!』

「ねえユイミーちゃん聞いてる? ニンニクのことどう思ってるの?」


 背後から魔術ノートの声がして気が付いた。今のサフィさんの魔術も、浄化の魔法の一種なのだろう。手を洗いながら清めたり、ハンドパワーを込めることで清めたりの練習はしてきたけれど、物理的な汚れを消す練習はなかったので気が付かなかった。

 シノちゃんに肩へ移動してもらい、右手で持ったすりこぎに左手をかざしてみる。すりこぎの真ん中から先あたりにあるうっすらとしたシミが綺麗になるように念じた。


「……汚れ取れないですね」

「穢れは取れてるよー」

「汚れてるのに?」

「キモイ魔力ハ消エタヨネ〜」


 ヘドロ的なやつの魔力がちょっと移っていたのが消えたらしい。相変わらず、私には違いがわからなかった。

 結局私はサフィさんをニンニクでつってお願いし、物理的な汚れも取ってもらった。しかし道中でしばしばヘドロと遭遇したので、最終的には何回か倒してからまとめて綺麗にしてもらうようになった。

 すりこぎ、新しいの買って返そう。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 読み進むにつれてユイミーちゃんのスルースキルと対応力が増しているのが素晴らしゅうございます(笑)。 [一言] すりこぎは山椒とかヒノキとか種類があるみたいなので新しいのを2種類くらいセレ…
[良い点] 新しいすりこぎを買って神様に返したら、神力たっぷりの古いすりこぎを譲り受けることになりそうw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。