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エピローグ、妖精の契約最終日

要塞のバルコニーに穏やかな風が吹き抜ける。

 エレナの手元に残った1枚の紙−−

妖精との『魔力契約書』を見つめていた。

追放された日に結んだ「六ヶ月の暫定契約」の最終日だったのだ。


「エレナ、何ぼ〜っと見てるのさ!ざこ王子が片付いたからって、まさか抜け殻になっちゃったわけー?ざ〜こ♡」


リリィがふわふわとエレナの前にやってくる。


「ううん、リリィ。今日で契約が満了だと思ってね。……あなたには本当に助けられたわ。私の『温度固定(サーモ・ロック)』の魔力をずっと維持してくれて、領民達を引っ張ってくれたのもリリィだもの。今まで本当にありがとう」


 エレナが心からの感謝を込めて微笑むと、リリィは一瞬だけ以外そうに目を見開き、すぐに顔を真っ赤にして、ぷいっと横を向いた。


「な、何よ急に真面目になっちゃって……!べ、別にエレナの為じゃなくて、あの美味しい魚料理が目当てだったし……!勘違いしないでよね!」


「ふふ、そうね。明日からはもうあの料理は食べれなくなっちゃうのね。寂しくなるわ」


 エレナがあえて大袈裟にため息をつくと、リリィは慌ててエレナの胸元に飛びつき、契約書を小さな手でバンバン叩いた。


「ちょっと待った!誰が契約を終わらせると言ったのさ!エレナの『温度固定(サーモ・ロック)』は便利だけど、私の魔力サポートがなきゃ、すぐヘロヘロになっちゃうんだからね!?私がいないと、またあのざこ王子みたいな奴らに騙されちゃうんだから!」


 リリィはフンスと鼻を鳴らし、エレナの指先をツンと突っついて、新しい魔力契約の光を灯す。


「というわけで、契約延長!期間は……エレナが私に美味しい料理を作り続ける『一生分』だよ!分かったらさっさとサインしてよね!ざ〜こ♡」


「ふふっ……ええ、喜んで。こちらこそよろしくね、リリィ」


 エレナが契約書にサインを交わすと、光の粒子が2人を優しく包み込んだ。

ツンデレながらも絶対に離れる気のない相棒の頭を、エレナは愛おしそうに撫でる。



「よし、じゃあ契約記念に、今夜は新メニューにしましょう。氷の下から獲れた極上の寒魚を使った『特製カルパッチョ』よ。もちろん、一番美味しい温度に固定してあげるわ」


「カルパッチョ……!?な、何それ、名前だけで美味しそうじゃん……!ほら、早く行くよエレナ!私のお腹を鳴らした罪は重いんだからねー!ざ〜こ♡」











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