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凍える婚約者、ざ〜こ♡

 遂に飢えと寒さに耐えかね、王都を捨て逃げ出してきたミゼル王子。

彼が辿り着いたのは、いまや「豊穣の楽園」と噂されるエレナの要塞都市だった。


門の前でガタガタと震え、鼻水を凍らせながら、ミゼルは要塞の上を見上げて叫んだ。

「エ、エレナ……!頼む、中に入れてくれ……!俺が悪かった、婚約破棄は撤回してやる!だから暖炉のある部屋で、温かいスープを飲ませてくれぇ……!」


 氷の城壁の上に現れたエレナは、冷徹で美しい悪役令嬢の笑みを浮かべた。

「あら、ミゼル殿下。追放された『邪険な悪役令嬢』の作った、凍えそうな冷たい街。高貴な殿下の身に合うはずがありませんわ。吹雪の中で、殿下の熱い『王族の誇り』とやらで暖をとられてはいかがかしら?」


 そして横から、ぬくぬくと温かいココアを飲んでいたリリィが、メガホンを持って最上級のトドメを刺す。

「ざ〜こ♡ちょっと寒くなっただけでガタガタ震えて国を放りだすとか、最高のざこ精神なんですけどー♡婚約破棄の撤回?誰がアンタみたいな冷え性のざこ王子の所に戻るのー!?悔しかったら自分の力で、王都の雪全部溶かしてみなよー!ざ〜こ♡」


「う、うわあああぁ、寒すぎるっ!一時の気の迷いだったんだ〜、すまなかったぁぁぁ!」


 ミゼル王子はそのまま門前払いをくらい、自分の流した涙が凍りつき頬に張り付く痛みに泣き叫んだ。

折しくも彼の後ろからは、領地を狙う隣国の軍隊が迫っていたが、エレナの「絶対に壊れず溶けない要塞」に恐れをなし引き返していった。


 結局隠れていたミゼル王子は敵国の軍隊に捕らえられ、王位を剥奪された挙げ句、一年中氷を切り出す強制労働施設に送られるとゆう、最高の「ざまぁ」な結末を迎えた。



 その後エレナの都市は、寒波に苦しむ世界中の人々や商人を向かい入れ、世界最大の公益貿易国家へと発展。


「エレナ、次はあの冷害に苦しむまともな国々に、暖かい空気を輸出して大儲けしちゃおーよ♡」


「ええ、いいわね。私たちの温もりはもっと価値のある人の為に使いましょう」



氷の要塞の中で、悪役令嬢エレナと契約妖精リリィの快進撃はどこまでも暖かく続いていくのだった−−


「ざ〜こ♡」







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