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ゲームのキャラと現実世界の夏祭り  作者: ReseraN


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第3話「夏祭りへ」

 ディーンと別れ、ユアはアクセプト寮へ戻った。

 食堂では、空想組とギャル組が楽しそうに話していた。


 よく見ると、タイシの手には夏祭りのチラシが握られていた。

 最初に気づいたソウカが、声をかけた。


「ユアっち、おかえり! お兄さん、帰ったの?」


「うん。ねえ、それって夏祭りのチラシだよね?」


「そうだよ。明日、みんなで行くんだ! ユアも行こう!」


 チラシを持っていたタイシが、目を輝かせていた。


 さっきもらったチラシは、ユアの手元にはなかった。

 ディーンがフィーヴェにいる仲間たちへ説明するため、持って帰ったのだ。


「もしかしたら明日、お兄さんの友達も来るかもしれないんだ」


 ユアがそう言うと、ギャル組から喜びと驚きが混じった歓声が上がった。


「お兄さんの友達ってことは、男だよね?!」


「お兄さんがカッコ良いんだから、友達もカッコ良いよね?!」


「ユアっちは会ったことあるの?!」


 ヒース、ズノ、ソウカの順番に聞いて来た。

 三人とも、明らかに目当ては男性だった。


 対して、空想組は彼女たちを微笑ましく見つめていた。

 現実派のギャル組と違って、二次元の方にしか、なびかないからだ。



 次の日。

 ユアはミラーレの弁当屋の仕事を終え、アクセプト寮へ戻った。

「おかえりなさい」と寮母が迎えてくれた。


「ユアちゃん、ちょっと来て」


 寮母は、ユアを自身の部屋へ手招きした。

 部屋に入ると、水色の生地に薄いピンク色の花が描かれた浴衣(ゆかた)が広げられていた。


「今夜、よかったらこれを着ていかない?」


「えっ?! いいんですか?」


「せっかく、お兄さんが来て下さるんだもの。オシャレして行きなさい。大丈夫よ、浴衣は利用者のために用意してある分だから」


 最後に浴衣を着たのは、小学校の時。

 ユアは久しぶりの浴衣に、有頂天になった。



 夕方五時頃。

 ディーンが、寮へ迎えに来た。


「お待たせー!」


 彼へ駆けるユア。下駄がカタカタと鳴る。

 寮母から貸してもらった浴衣を着こなし、髪型も上の方で団子を作ったシニヨンヘアになっていた。


 いつもと違う風貌に、ディーンは開いた口が塞がらなかった。


「な、何だ、その衣装は……?」


「これは“浴衣”って言って、祭りの時に着る服なんだ! 私の国では、昔もこういう形の服が着られてたんだよ!」


 驚きを隠せないディーンを見て、ユアがドヤ顔で説明した。


「そ、そうか。祭りのために着る服か……」


 ディーンは、彼女を眺めながら納得した。


「と言うことは、俺()()も着替えた方がいいのか?」


 ユアは「俺たち」という複数形を聞き逃さず、目を輝かせた。


「みんな、来てるの?!」


「まだフィーヴェだ。こちらはあまりにも暑いから、“覚悟を決めるように”と待たせている」


「覚悟って、そんな大袈裟な……」


 ユアが言ったところで、ディーンは「少し待ってろ」と、足早に去って行った。



 三十分が過ぎた。

 ユアは浴衣姿のまま、冷房が効いている寮の玄関で待ち続けた。


「何やってんだろ……?」


 心配していると、向こうの曲がり角から人影が現れた。

 ユアは急いでドアを開け、駆け寄った。


 やって来たディーンを見た瞬間、彼女の体は硬直した。

 何故なら、彼は髪型と眼鏡はそのままに、黒い浴衣を着ていたからだ。


「ディ、ディ、ディン様?! どうしたの、その浴衣?!」


「祭りの時に着るのだろう? 変身能力で着替えたのだ」


「そうなんだ。別に強制じゃないんだけどな……」


 ユアが赤面しながらつぶやいた。

 フィーヴェは洋風の世界。

 和風の文化はないため、和服を着たディーンが新鮮に見えたのだ。


 彼は自身の後ろへ「来ていいぞ」と声をかけた。

 すると、一気に五人の人物が顔を出した。


 最初に現れたのは、えんじ色のウルフカットにグレーの浴衣を着たラルス(フィトラグス)。


「誘ってくれてありがとな」


 続いて、紺色のウェーブヘアに丸眼鏡をかけたティム(ティミレッジ)。

 黄色の浴衣がよく似合っている。


「またリアリティアに来れて、嬉しいよ」


 さらに、黄土(おうど)色のツンツンヘアにオレンジ色の浴衣を着たダット(オプダット)もいた。


「楽しみだぜ、リアリティアの()()()()()!」


「”なつまつり”な!」


 ダットの言い間違いを、ラルスが訂正した。


「みんな、来てくれたんだ?! それに……」


 三人の後ろには、水色の長い髪を三つ編みにし上部で巻き、紺色の浴衣を着たソールネム、黄緑色の髪を三つ編みドーナツにした、ピンク色の浴衣を着たチェリテットがいた。


「ソールネムと、チェリーも来てくれたの?!」


 意外な人物に思わず声を上げると、全員から人差し指を立てながら「シー!」と静められるユア。

 彼女たちもゲームのキャラクター。リアリティアでは名前が知られていたので、迂闊(うかつ)に名前を出してはいけなかった。


「仕事が終わったからね。この後、することもないし」


「リアリティアにも、前から来てみたかったんだよね~」


 ソールネムとチェリテットは、小声で答えた。

 続いて、ティム、ラルス、ダットがお礼を言った。


「今日はお招きありがとう、ユアちゃん!」


「リアリティアにまた来れるだけでも嬉しいのに、祭りにまで参加出来るとはな」


「俺も昨日、ディンフ……ディーンから聞いて、朝から寝られなかったんだぞ!」


「“夜も”! 朝は寝ないで起きてっ!」


 ディーンの名前を言い直すダットだが、言い間違いをチェリテットから訂正されてしまった。

 予想以上の人数に、ユアは思わず笑みがこぼれた。


 そこへ寮から、浴衣姿の空想組とギャル組の六人が出て来た。


「うわっ! すごい人数!」


「もしかして、お兄さんのお友達?」


 人数の多さに驚くヒースと、尋ねるラッカ。

 ユアは得意満面で「そうだよ!」と答えた。


「お兄さん、友達多いね! 自己紹介しよっ!」


 ソウカは取り仕切ると、最初に自身が名乗った。

 ギャル組、空想組が名乗った後で、ディーン、ラルス、ティム、ダットが自己紹介した。


 次はソールネムとチェリテットの番。

 ユアは二人が来ると思わなかったので、仮の名前を考えていなかった。


「初めまして、ネムです」


「チェルです! よろしくね!」


 しかし、二人は即座に名乗った。

 ディーンたちが教えてくれたのか、名前を考えて来たようだ。


 自己紹介も無事に済み、祭りをしている街へ大人数で向かい始めた。

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― 新着の感想 ―
わはははは。空想組にギャル組♪ みんな組に括られていくー笑 さらにソールネムさんとチェリテットさんも参戦!?(驚 これは賑やかな「まつなつり」になりそうです♪(期待
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