永劫、祈れば世界は平和へと
「間近に········っ!まさか」
ガンマの頭の中に流れるのはあの銀河を彷彿とさせる宙の矢、彼のアマリリスの防御を消し飛ばしたあの一撃。
「神器――双想のギルルメナスについて教えよう」
「ギルルメナスは中央大陸、インフィコードの中心に位置する世界図書館のある書物に記載されていたんだ。」
「インフィコードか、」
『俺がそこに辿り着くまで相当掛かるだろうな』
「双想と言うだけあって武器種は双剣、書物には理を断つと記載されていた」
「そりゃ随分と大きく書かれてんな」
「私が言えるのはここまでだ。アマリリスの情報をくれるのなら続きを話すとしよう」
『かなりデカイ情報だが今は私欲よりも創世神物について知られる方のマイナスがデカイ。伝令神が武闘派クランじゃないとしても大規模なクランになればなるほどクランバフの影響は顕著に現れる········とくれば今は』
「悪いが、今は話せねぇな」
『隠し通すしかない』
長考の末に導き出した答え。この長考がシグマの確信を突いたのだろう。創世生物には更に大きな何かがあると言う確信を。
「そうか、残念だ」
「悪いな、」
「いいや、何かがあるということだけでも知れたのはプラスさ。ガンマは今後どうするんだ?」
「俺の当分の目標はこの大陸の攻略だからな。進展があれば俺もめガイストスを突っつきに行くよ」
「そうか、では次はメガイストスの元で」
「おう」
___________
「私空気だったんですけど?」
「今回ベータは過労死するくらい働いてもらうよ?」
「うぇ、」
「定期的にガンマから情報を貰ってもらわないとこちらとしても進展が遅くなってしまうからね。ハハッ兄妹とは実に便利だね」
薄ら笑でそんな事を言ってくるシグマ。面倒くさそうにしているベータだがやる気に満ち溢れている目をしている。結局はゲーマーの血が騒ぐのだろう。
「さてと、我々も調査に出向こう」
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「メガイストスはあいつらに任せて俺は呑気にエリア攻略の続き、独りでにゲームを楽しむとするか」
伝令神から歩いて十数分。ガンマは古来の晶洞のさらに奥に位置する苔汚れた雰囲気のエリア【腐敗騎士の廃村】に向かった
「えっと?随分と前に森も終わって長々と続く荒野の先が新エリア――腐敗騎士の廃村」
マップを見ながら歩いているガンマ。歩く先にあるのはいつまで経っても荒野、全力で走ってみたりもするがまだ広がる荒野。そこからさらに数分歩くと空気が変わった。少し緑がかった空気に多少の不快感とワクワクとやっとか感を表に出しながらそこから少し歩く。
「あったあった」
ガンマが覗き込むように目にした物は、巨大なクレーターの底に見えるジメジメした雰囲気の村だった。
「あれが――腐敗騎士の廃村、廃村と言うだけあってボロボロで誰も住み着いていないっぽいな」
辺りを見渡した結果クレーターの壁に掘られた狭い幅の階段を見つけた。
「何となくわかったぞ?ここが廃村になった理由はまず間違いなく利便性の欠陥だな。この荒野でまともに食料を作れるわけもねぇ癖に外部と繋がる手段がこれじゃあな、」
次第に人も去り、寄り付かなくなったのだろうと考察を巡らせたガンマ。おそらく利便性の欠陥はこの階段を見れば容易に伝わる。
「っと、到着」
新エリアに着きテキストが表示される。ここで間違い無さそうだ。
「う〜ん、なにかすることあるのか?」
一応周囲を散策することに。あまり期待はしていないが、新エリアなんだから何かしらはあっても良いのでは?と思いながら隅々まで見渡すと、
「ん?んだこれ」
ボロボロの納屋の中に引っ掛けてあった何やら鍵?のようなものを手に取った。
「謎の部屋の鍵?」
詳細が開けることからこれは装飾ではなくアイテムのようだ。
「えっと、なになに?ある部屋を開ける為の鍵、4つのシステムを起動させた先に答えは眠る·······システム???」
こんなボロボロの廃村でシステム?謎が深まる一方だ。
「つまりここ、もしくは別の場所になんならかのギミックがあってその先でこの鍵を使用すると?」
全くワクワクしなかった探索だったが、鍵やシステムと言った単語が男心に火をつけた。
「まずはこの村の散策を隅々まで済まさねぇとな」
ガンマは虱潰しに、且つ効率的な方法でシステムとやらを探し始めた。
「この地には無いという可能性あるが、一旦これが最適だろ!」
ガンマはクレーターの壁にちょっとした隙間を見つけ、いつもの団栗をスタートラインの目印として置いた。
「スタートラインのセットよし、マッピングの準備よし、では早速、ギミック調査開始じゃあ!!!」
ガンマの探索方法は外壁部スタートラインからスタートラインまで壁に沿って歩きそれを段々と縮めていく、完全なローラー作戦だ。
「俺に忙しいなどという文字は無縁、休止中との俺はほぼニートだからら〜何時間でも歩いてやるよ」
その言葉通り、まぁまぁ広いクレーター廃村をぐるぐるぐるぐる周り歩いてから2時間近く経った。途中で休憩や、もしかして!という可能性を試してみたりと色々やってはいたがそれでも歩き始めてから2時間だ。
「だいぶ時間かかったけどこれでマッピング完了かな?」
全体マップでは不十分だった村の情報が鮮明に記されている。
「こう見ると結構面白いよな結果だな。杞憂かもしれないけどこの村を四分割した時、向かい合う村同士がある場所だけを除き同じ構造になっている」
縦横四分割にした時、マップ的にだと右上と左下、左上と右下の村がある場所以外同じ形をしている。
「やっぱマッピングは重要だな。あいつが散々言ってたからな、改めて感謝」
今頃別の場所で同じ事をやっていそうなゆぃつに感謝の念を送る。
「さて、これで違かったら別の場所にシステムは隠されている。まぁ、流石にこれだろってのは見つけてるんだけどね」
ガンマは村の中心地のもう水も出ていない噴水へと赴き周囲の状況を確認した。
ここから縦横の四方に見える建物の一部崩れた部分から年端も行かない女の子の置物が顔を見せていた。
ガンマはその置物を噴水が正面になる様に向きを変えた。
――残り一つ
「何故この廃墟、廃村にこんなにも精巧な置物があるのか、何故こいつだけ綺麗なままなのか、答えは一つだろ」
最後の一つの向きを直した時、置物から何やら輝く光が噴水を指し示した。
「こういう謎解きもゲームの醍醐味だな」
光が灯した先、噴水の丁度中間に当たる部分が石が擦れる音を立てながら開いたのを確認した。
ガンマが噴水に近づき隠されていたアイテムを手に取る。
───導きの腕輪
ある場所を教え、導いてくれる腕輪。役目を終えた時腕輪は砕かれる
「導きの腕輪·····んあ?」
強制的にマップが開かれある場所にマークが出現した。そこは南の大陸の南西部、に位置する名も無き崖だ。
「ここから少し時間はかかるが、これを終わらずして先に進むのはゲームに失礼ってもんだろ」
ガンマはマークの箇所に寄ることにし足早にエリアから身を引いた。直線距離で20分程度の位置にある場所だがワクワクした心を持つ男の時間の進む速度は尋常じゃない。ゲーム中の20分なんざ勉強中の1秒程度、色々考え事をしていればすぐに、
「また始まった········」
直線距離20分程度なんだ。直線で行けるとは言っていない。クソでかい山がまた立ちはだかる。時間は数倍に増えただろうが、やるしかない。新エリアではあるもののマークの方が遥かに気になる。実質的に攻略継続中なためゲームに失礼とも思わない!そう、最短距離でぶち抜いたってなんとも思わない!
「うぉらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
最近やっていなかったが、毎度恒例モンスターとの総力勝負だ。知らないモンスターが多数存在しているしなんならレアそうなやつもちょくちょく見える。水色と金色のクリスタルを纏った蟹とかめちゃくちゃ高そうだが、無視する!······少しの寄り道で回収しても文句は言われないから結局懐にしまい走り続ける。後々打ってみたらとんでもない値段になった上に出現率0.002%と言われて気絶しかけたが、今は関係ない!走れ!全てをぶっちぎって!
数十分後
「だぁー、はぁはぁはぁっっけほ!こほっ」
全速力をこの時間続けていたんだ、ゲームでなければ不可能だがここはゲームだ!息苦しくて死にかけたが······何とかるものだ。
「よ、よ、し。行こう、」
自信に発破をかけたが、崩れるように草むらに寝っ転がった。クソでかい山の先が豊かな草原で助かった。空気が美味い。荒野は空気が不味い。
またまた数分後。
遂に行動を再開したガンマ。と言っても目的地はすぐ目の前に迫っている。この草原を囲む森を抜けた先、歩いてほんの数分のところにそこは見えた。
「ん?ここでいいん、だよな???」
ただの断崖絶壁の崖。波打ち際なせいで潮がビチビチとかかる。
「まぁ、なんかあるんだろうけどさ」
ガンマが崖の先端に立った時、突如として腕輪が壊れた。
「······てことはここだな?」
下を覗くとあの廃村のクレーター壁にも掘られていた階段があった。
「··········これを降りろと?」
たとえ世界最強だろうとも、怖いものは怖い!自殺スポットと言われても納得できてしまうような場所、そこの崖を、しかもクソ狭い幅の階段を降りろと?·····やるしかないだろう。
「これクリア不可能なプレイヤー居んだろ、レベルとか技術とかそういう観点じゃなくて実質的に1番強いだろこの光景·····耐性持ってないとそもそも戦わせてくれないタイプのボス」
独り言で気を紛らわせながら頑張っておりていく。何度海を枯らしてやろうかと思ったが、とにかく潮やめて?
「お、やっとか·····?」
降りた先に何やら空洞があった。声が反響する。明かりも無く進む先も記されていない。
ガンマはインベントリから質屋で安値で買える松明(1個前の洞窟で使う予定だった)を取り出し辺りを灯した。
空洞は続いている。警戒しながら進むも何も無いし何も襲ってこない。1分ほど歩いた先にオレンジ色の温かみのある灯りが見えた。
「さぁ、何が出るか蛇が出るか。出来れば兎とかそこら辺が出て欲しいもんだが、果たして、」
灯りが点った場所は部屋のようだ。何やら両膝を着き石像に祈りを捧げている人がいる。
「何方でしょうか」
足音でこちらに気づいたようだ。祈りを止めこちらに振り返ったのは純白の聖服に身を包んだ女性だった。
「ここに導かれた聖職者だよ。」
ガンマは松明の火を壁に押し当て消した。
敵意の無いことを示すために手ぶらでその部屋に近づいた。
「聖職者ですか、ウフフ。随分とお強そうな方ですこと」
「学を代償に力を得た聖職者とも言える」
『会話の感じこれも創世生物のクエストが影響してそうだな、』
ガンマは会話を進めるべくその女性の隣に座り込んだ。
「聖職者のガンマだ。お嬢さんは?」
「私はイクリディアムと申します。是非リディアとお呼びくださいガンマ様」
はにかんだ笑顔を見せるリディアだが明らかに普通の聖職者じゃない、礼儀作法のレベルが貴族のそれだ。ガンマはこの子はなにか特別な存在なのだろうと暫定する事に。
「わかった。リディアはここで何をしているんだ?」
「·······祈りを捧げています」
「·······この方は、否。こいつはリディアにとってのなんだ?」
ガンマが口ごもった理由はその石像その物にあった。
「私達、リディア教が崇拝する神。天庭樹メガイストス様です」
石像から感じるオーラで何となく理解していた。このオーラはアマリリスやコスモの様な創世生物から放たれる物と同様の、その残滓だ。
「········悪いが、メガイストスについて知っていることを全て教えてもらう」
ガンマが立ち上がり少し距離を取った。力ずくにでも情報を吐かせると言う気概だが武器を取り出すようなことはしなかった。リディアはそんなガンマを見て真剣な面持ちでガンマに向き直った。
「ガンマ様。ここへ導かれたのはきっと偶然ではなく必然です。」
ガンマの更に警戒を高める
「私に力はありません。私にできることは祈り、癒すこと。この出会いが偶然が必然か、それは神のみぞ知る世界でガンマ様が私の目の前に現れた奇跡かもしれません。私の全てはメガイストス様の為に存在します。ガンマ様」
ガンマの目の前にウィンドが表示された。
「私と共にメガイストス様をお救い下さい」
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シークレットクエスト
──永命の世界に祈りを手向けば──
───クリア条件 メガイストスの正常化
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