八割の嘘に二割の真実
「カバネ?ガンマ達も来た事だし、ゆっくりしよっか」
「·······椅子とかの用意はないんで、それでいいんだったら、」
「んで?今の回想の中のどこにいたんだよ」
顎を肘に乗せながらそういうガンマ。伝令神に戻ってきたガンマ達は話の続きを始めた。
(トゥーシューガァンは仕事に戻り済み)
「ん?ずっと居ただろ?バルハルって」
「え?」
あの高圧的な態度を取り指揮権を握っていたバルハルが先の会議で滞りのない司会を務めていたパルトだそうだ。どうやら最後の一撃で終戦どころかロールプレイングと心にまで終止符を打ってしまったそうだ。
「パルトの声色と喋り方があいつの最後に似てたからさ〜?すぐわかった。プロゲーマーってことは知らなかったけど」
「一年ほど前にできたチームで実績も無いから頂点からは目にも止まらないだろうからね」
シグマもトップレベルではあるもののその実は情報収集の得意なデータキャラ。様々な情報を握っている。
「パルトも君達に気づいた様子だった。恐らくだが、」
「ちょっかいを掛けてくる、って事か?あんなロールプレイングしてる奴だしな〜やってくるだろ」
「どうせ狙われるの俺だけどね.....でもそうだな、そういう前提なんだったら一から練り直しだな」
「何か策でもあったのかよ」
「そりゃもちろん。」
そういいゆぃつが南の大陸の全体マップを映した。
「これは?」
「1度死んでも良いからってメガイストスにちょっかいを出しといた。その結果がこれ」
そういい赤色の点滅を指さした。
「赤色の点滅が動いてる?」
ベータが不思議そうに点滅をいじっているが、光ってるだけで触れるわけではない。
「これは?」
「これはメガイストスに付けたトラッカーだよ。動きを常に追い続けられる。」
「よく付けれたな、」
「攻撃をしたとなれば団長は一度デスポーンしたという事ですか?」
「いいや?ダメージ判定の無い物だから攻撃とは言えないかな?消されるかは心配だったけど、見向きもされなかったよ。あれは多分大雑把な攻撃意識を判定してるって思ってる」
「攻撃意識?」
「うん。例えば俺がこの場面で矢を放ったとしよう。影に入ってないとはいえ攻撃したんだから消し炭にされるのは目に見えている、でも俺にお咎めはなかった。これは多分さっき言った意識の問題だと思う」
「つまり、その時のゆぃつはトラッカーを付けるという意識でこれを放った。もとよりダメージの存在しない物であれば気にしなくていい、」
「そういうこと。でも影の外からだったから説もまだある。結局実習が足りねーわ」
「そんで?初めに練ってた策って?」
この地図を見せてきた当初の目的は作戦の共有だ。ガンマは話を戻した。
「メガイストスは徘徊しているだけでこちらに危害を加えては来ていない。初めはあの会議にもいたプレイヤー全員で攻略法を見つけるつもりだったんだけど。パルトがあいつだって分かったら話は変わる。俺に協力すとは限らないからな」
「でも敵とも限らなくないですか?」
ベータがそう問いた。
「俺達はこれってのを決めといた方が何かと楽だからね。仲間だと思ってたら後ろから殺られるとかもある。だから俺達は殺られる前に殺る。」
「お、」
ゆぃつの強気な言葉を聞いて少し動揺するベータとシグマ。血の気の多めのゆぃつに気分の上がる不色王達。
「ホラを吹きまくって情報を錯綜させるのが第一段階。八割の嘘に二割の真実を織り交ぜて話を流布する。作戦もクソもなくなったところを狩る。」
「これは我々は聞いていて良かったのかな.....?」
困惑しているシグマがそんな事を聞いてくるが、愚問だ。
「二割くらい真実を流すのは伝令神だからな。こっちは情報量で信憑性を勝ち取る。はぐらかし続けて疑心暗鬼にさせるだけでも成り立つ話だし」
「団長、結論をお願いします」
話が難しくなりつつあるこの状況を一言でまとめようと意見するカゲツ。ベータがすごく頷いている所を見るによく理解できてなかったのだろう。
「結論は内側から攻略会議をぶっ壊して力で捩じ伏せる。メガイストスは攻撃していいモンスターじゃない。ギミックを探し出し攻略するのが俺達のゴールだ。裏切られるかもしれないと言う状況で戦うのは俺のオーダーじゃないからな」
こういった会議ではやはりリーダーの顔をする。口調が初めと違ってくるのもギアが入ってくるからだ。口調が強い時は大体従っておけば何とかなる、そう知っている。
「御意」
「OK〜んじゃそれで」
「え?そんなあっさり?!つまりPVPって事だよね?変な目のつけられ方するかもだし、」
ガンマ達の今後を見据えての言葉だろう。今後新しくクランを立ち上げる時にメンバーが集めずらくなったりもあるだろうが、創世神物【青色の光り輝く剣】の存在を知っているガンマ達からすればそれは些事だ。
「創世生物にはそれだけの価値がある。敵になったとしても取るだけの価値が」
シグマも気づいている様子だ。こちら側に何らかの理由があることを。ベータも少し察しているようだがシグマと違ってその本質までは理解出来ていないでろう。
「分かった、我々も協力しよう。トゥーシューガァンにも伝えておこう。この内容をメンバーに流布する気は無い為安心してくれ」
「頼んだ。俺達もお前らとの関係を疑われないよう関わりを減らすことにしよう。幸いな事に現実でパイプが通ってる訳だし」
2人が同時にガンマとベータに目をやった。
「兄妹で別クランだと足跡の残らない最強の情報共有手段になりうる。情報の共有はお前らを通して行うから。一言一句逃すなよ?絶対に」
「わーってるよ」
「うん、分かった」
「んじゃ今日はこの辺で、俺はこのままメガイストスの情報収集をしてくるから」
そういいこの場から去ったゆぃつ。カゲツも付いていくようだ、会釈をしてゆぃつの後を追いかけた。
「んじゃ俺もここで、」
「取引をしよう」
食い気味に言葉をかけるシグマ。今の話からのこの言葉、あまりいい予感はしない。
「·······話だけなら聞いてやる」
真面目な表情に少し性悪な様子が浮かぶ。
「君達の持つアマリリス戦での報酬を教えて欲しい。代わりにこちらが提示するのはある武器についてだ。」
「ある武器?」
「そうだ。現在存在を確認されている物は2本。とてつもなく入手が困難、だがその性能は最強と言ってもいい。君は一度その威力を間近に見ているはずさ」
「間近に········っ!まさか」
ガンマの頭の中に流れるのはあの銀河を彷彿とさせる宙の矢、彼のアマリリスの防御を消し飛ばしたあの一撃。
「神器――双想のギルルメナスについて教えよう」




