反逆者防衛戦其の一
プレイヤー数
────反逆者連合:1332
────不色王:40
『その時俺たちは理解した。傷つき色付く赤にも、土を被り汚れる色も、敗北によって黒に塗られる白の星にも······誰も彼という真っ白なキャンバスに色を付けることなどできない。』
「あぁ、あれが」
不色の王達なんだって。
「ゆぃつさ、さっきの誰か知ってんの?」
先の会議で議長を務めていたプレイヤー。カゲツもガンマも心当たりがない声の通った好青年、あれだけ話のまとめ方や進め方が上手ければ多少は知ってそうなものだが·····
「ん〜反逆者連合戦って覚えてる?」
「そりゃぁ覚えてるけど、大戦争だったもんな」
NWO内で起こった出来事の話を始めた。
「あの防衛戦にいたプレイヤーだよ」
「結局全域のカバー行ったけど、いたか?あんなやつ」
「あ〜、皆は会ったことないよ?だって、」
平然とした表情で会話を続けるゆぃつ
「俺が殺したから」
────────────────
数年前
───NWO 不色王本拠地
巨大な石造りの円形のテーブルに一定間隔に座った全40名のプレイヤーが各々自由な姿勢で待機している。
誰かとメールする者や机に足を乗せ退屈そうにする者、武器の手入れをする者や自身のビジュアルを鏡で確認する者とあまり緊張感がなかった。
「では、これについて話し合おうか」
声を発したのはこのクランの団長、ルーキー・にぃつだ。
にぃつは赤色の蝋によって止められていた手紙の中身を全員に共有した。
「宣戦布告、ですか、」
───────
クラン不色王に宣戦布告をする。
開戦:2日後の8月31日午後13時30分。
形式:領地防衛戦
制限時間:無制限
リスポーン:無し
終了条件:双方どちらかのプレイヤーの全滅
要求:今までに奪った全領地と資源
ただしこちらが負ければどんな条件だろうと呑む。
総数:1332人
クラン連合──反逆者連合代表:バルハル
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「あまりにもリスクマッチですね」
文面を見れば誰だってそう思うだろう。40対1332の防衛戦、不色王がいくら強いと言っても1人につき30人以上相手取らなければ数としては合わないというこの戦い、そしてこちらが負けた時の損失は計り知れない。
「負ければ領地と資源の大半を失う、俺達の影響力は著しく堕ちることになりますね」
「負ければ、だけどな」
机に足を乗せかなり堂々とした態度をとっているプレイヤー、カバネが声を上げた。
「勝てば全部奪えんだろ?相手は負けるはずが無ぇって思ってやがる、たとえ1000を超えるプロの集団だとしても俺達が100%負けるなんてことは無ぇだろ」
「1300超の内訳は?どこのクランが集まってるとか分からないんですか?」
kanadeがメッセージ画面を開き全体にクラン連合の内訳を出した。
「反逆者連合、リベリオンの内訳はいま送った通りだ。小中規模のクランが徒党を組んで我々を潰しにかかってくる。大型クランやプロ達はほとんど参加していない、つまりはカジュアルプレイヤーの反逆だ」
名簿に書かれたクラン名は聞いた事あるのが少し、他は全くの無名クランばかり····一つを除いて。
「なんか居んな〜」
「こいつらですか?首謀者」
そこには陰盗人という名前の小規模クランが記載されていた。
───陰盗人
職業盗人又は盗人からの派生、上位職のプレイヤーから成る小規模クラン。主に諜報や奇襲を得意とするプレイヤーの集まりということもあり対人戦のプロフェッショナル集団と思って差支えがない。
「いや、バルハルと言うやつは陰盗人には居ない。相手の大将はこの中規模クラン──戦強の大盾のクランリーダーだ」
kanadeの情報としては40人程度で構成された高い連携力と防御力が売りのクランらしい。
「うち達大型クランでもないのに〜酷いよねぇ〜」
自分のビジュアルを確認and撮影を繰り返すプッチーちゃんがそう声を上げた。
「領地と戦力を考えれば圧倒的だがな。数を集めれば我等に勝ると思っているのだろうが、我等のやることは至極単純、ですよね?にぃつ様」
水色長髪エルフのテレストがメガネを外しながらそう言った。
「その通り、簡単な話だよ」
そういいテーブルに不色王の領地を別の色で分かりやすく示した世界地図を映した。
「俺達の目的は領地防衛じゃない。殲滅だ」
にぃっの言葉に戸惑っているプレイヤーも少なくは無い、自ら領地を捨てると言っているのだ、結果的に勝てたとしても弱体化は必至になってしまう、理由を問おうとしたプレイヤーもいたが、先に結論をテレストが話してくれた。
「勝てば全ての領地を取り戻せる。一時的に所有権が移ったとしてもなんの問題もない。各地に戦力を分散させるより我らが首都であり最強軍事拠点であるここ水神の都に戦力を集中させる。お見事ですにぃつ様」
皆納得したのだろう。大人しく落ち着いた様子でにぃつの話を聞き続けた。
「テレストの言う通り俺達は水神の都防衛に全てを投入する。相手は数の利を活かし多方向からの攻撃をしてくると予想される。40対1332ではなく少なくとも3分割ってところだな」
にぃつは地図を指さしながら続けた。
「事前策、水神の都を首都として確保している俺達は防衛戦に置いて相当有利だ。背後は大海原、船以外では移動出来ない、この人数がいて船に人員を割くとは考えずらいことからメインは陸路と考えていい。その事から都市の左右に一部隊、中央に一部隊の計三部隊編成を組む。」
話し合いは大体そこで終わり後は決戦を迎えるだけになっていた。
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「行けんのかよ、お前の作戦」
「あぁ、俺達はまずルーキー・にぃつを潰す」
大口を叩く大盾を担いだプレイヤー、プレイヤーネーム【バルハル】その目には闘志が宿っていた。勝つ、勝てるという闘志と油断が混在し燃えていた。
「あいつも相当な化け物だぜ?もう一度聞くが、行けんのかよ」
「接近戦になれば弓如き数で潰せる、知り合いのプロの弓使いが言ってんだぜ?間違いねぇーよ。それに、」
「それに?」
「いいや?なんでもねぇーよ」
「はっ!だったらさっさと一角を落として他の奴らも殺そうぜ」
「そのつもりさ」
「そういやさっき賭けが始まったぜ?不色王が蹂躙されることを望んでるプレイヤーは多数、8割以上が俺達反逆者連合に投票してる。これでアイツらも地に落ちるな」
「あぁ、楽しみだ」
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8月31日午後13時28分
「さて、準備はどうだ」
西門部隊リーダー:ルーキー・にぃつ
各プレイヤーの首に取り付けられた通信アイテムからにぃつの声が聞こえる。
通信アイテムで話していいのは伝達ミスを防ぐため5人のプレイヤーのみ。
「東問題なーーし」
東門部隊リーダー:Poker Gamma
「はーい!北も同じく!」
「問題ありません」
正門部隊リーダー :kanade・アルアナ
「テレスト機能はどうなっている」
「恙無く。皆様、背中はお任せ下さい」
「作戦は伝えた通りに、個々が勝つこと前提の作戦だからどこか一門負ければ終わりだと思え。」
いつもとは違った団長の口調と声色にプレイヤー達の身が震える。僅か数十名の軍、誰か一人かければ負けるという期待を背負わされ各プレイヤーの覚悟は最高潮に達している。
────13時30分
「じゃ、あとは頼んだよ?テレスト」
「仰せのままに」
水神の都を囲む光の柱の数々、総数1332の大軍の転送が完了されたのと同時に開戦の火蓋が切られた。
「やれぇ!お前ら!反逆者連合の力を見せつけろぉ!!!!」
西門に現れたリーダー的な男が声を上げたのを合図に開幕早々水神の都に向かって攻撃魔法か放たれた、が。
「チッ、」
「御生憎様、うちの内政は他と比べて並外れて進んでるんでね」
───NWO領地内政
莫大な資金と素材を有するが防衛戦において特別有利なシステムを都市機能に加えることが可能となる。城や防壁、居住区等様々な箇所を強化することが可能。
「私は王とにぃつ様直々に内政担当を拝命している。我々の軍備にたった1300の軍如きで抗おうなど·····実におこがましいぞ、雑兵ども·····!」
城の頂上、戦況を見下ろしながらある物の発動に取り掛かる。
「はっ!想定内だぜ!数で押せ!お前ら!」
近接職が遠距離、中距離職とコンビを組み不色王へと襲いかかる。こちら側はそれに対して反撃する訳でもなく攻撃を回避、往なすのみ。相手側からすれば好都合、このまま物量で押し切るつもりなのだろうが。
突如水神の都の中心から水色の柱が天を貫きプレイヤー達を閉じ込めるかのようにドーム状の結界が周囲を被った。
「全軍!進撃!」
テレストの声が不色王内に響いた。プレイヤー達は豹変したかのように突如一斉に反撃を開始した。敵の布陣の近接職は盾持ちがメインであった為即死することはない、そう高をくくっていたようだが、
「なっ!!何が起きた!」
前衛の盾持ちの半数以上は今の反撃で即死、それを逃れたとしても普通ならありえないほどのダメージを負った。考えられる原因は1つしかないだろう。
「聞き流しで結構!改め全軍の司令官は私テレストに一任されている。水神の都のバフの継続時間は5分!制限時間内になるべく多くのプレイヤーを殺せ。先も言ったが、背中は任せろ。」
───水神の都のバフ
膨大な素材と資金を費やすことで獲得することのできる大規模バフ。幾つもあるバフの中から三つ選択し使用することができる。今回選択したバフは以下の通り
────防御貫通
敵のVITを50%無視しダメージを与える
────攻撃力上昇
付与されたプレイヤーのSTRを50%上昇させる
────回復阻害
攻撃に50%回復阻害を付与
回復阻害
HP回復スキル及び魔法から得られる回復量の減少。
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不色王のにぃつに次ぐ軍師であるテレスト。今作戦は全てテレストが担当している。
「相当数の殲滅が完了済み次第各部隊のリーダーは舞台を崩し殲滅作業に取り掛かってください。」
「「「「了解」」」」
「クッッッ、」
満たされたかのように胸を抑え膝を着くテレスト。
「っっっ、現在他領地の制圧に向かっている兵の数はトータルおよそ300、数分あれば落とされることになるが、予定通りに進んでいる。」
東門ガンマ
「制圧完了。他のカバー行くわ」




