情報に巣食うは心底の嘘つき
「いつでどこ?」と言われしっかりと場所と時間を伝えた次の日の12時55分。ガンマ達は伝令神のクランハウス前に居た。
「お前は報連相を覚えろ」
「はい」
「王は昔から聞いたら満足するタイプです」
「信者もこう言ってるぞ」
「そんな所もいいかと」
「俺が間違ってるの??」
人のクランの前で寸劇をする3人、そこに声をかけたのはこのクランの団長だった。
「寸劇はその辺にして、早速行こうか」
左右にはいつもの2人、トゥーシューガァンとベータだ。
「お前学校は?」
妹のベータはここ最近ずっとゲーム三昧、成績優秀な子なだけに少し心配なお兄ちゃん。
「ん?学校?もう行かなくて良くなったけど」
「·······ん?なんで?」
妹をずっと育ててきた身としてはその理由を知らないことに不満を隠せるはずもない。その理由を問う。
「え?言わなかったっけ?うちの学校の制度」
「なんだそれ」
「簡単に言ったら定期テストの上位3人は結構自由になるんだよね〜だから問題なし」
「そっか、大丈夫なんだよな?」
「ずっと100点だし?サボりますって電話したらいいよって言われる」
「大学とかは·····」
パチンと手を叩いた音が聞こえ2人の会話は中断された。呆れたような表情を浮かべるゆぃつとニコニコな笑顔を見せているシグマ。手を叩いのはシグマらしい。
「妹が心配なのはわかるが、その話は後でにしてもらおうかな?今は時間が無いし、向かわなきゃね」
2人は見つめ合った。
「後でちゃんと聞かせろよ?今後の方針とか、」
「フッフ〜私のプァーフェクトプランを聞かせてあげるから安心してね〜」
彼の最強もこういう所じゃ心配症だ。少しの不安を優秀な妹へと信頼で包み込み話を一旦白紙に戻すことにした。
場所は移りこのゲーム唯一の船乗りクラン、海の真珠の船内へと変わる。
「このゲーム船も作れんのな!しかもこんなガレオン船とか·······!」
やはり男はこういうのが好きだ。現代の船に興味のない人達も多いだろうが、こういった昔ながらの海賊船を嫌いな男は少ないだろう、乗り込む時に見たこの船の船体は見事なものだった。側面に取り付けられた無数の大砲に重厚な木造船体、こんな船で旅をしてみたい、そう思うのも浪漫だろう。
「ここが会議室だ」
3階の船尾に位置するその場所からはピリピリとした気配が漂ってくる。普通なら多少怖気付く場面だが、
「うし、行くか」
このメンツがこの程度でビビるはずもないだろう。両開きの扉を開けた先には大型の円形のテーブルを囲む様に座るプレイヤーとその座っているプレイヤーの従者が立っていた。
「これで揃ったみたいだな」
丁寧に席に案内され、ゆぃつとシグマが隣合った席に座りその後ろにガンマ達が待機する形だ。
「まずは集まってくれてありがとう。俺の名前はパルト、このクラン海の真珠の船長を務めている。本議題は天庭樹メガイストス攻略についてだ」
討伐会議は思いのほかスムーズに進行して行った。事前に聞いていたことだが、パルトもあっちの世界のプロだそうだ。名前も見た目もまるっきり変えていることからガンマが分かるわけもないとの事だが、ゆぃつは声で誰か気づいたらしい。
話を戻そう。このパルトの議長としての立ち回りがかなり上手く、話の纏まりから展開の仕方まで滞りなく進んでいく。
『何事もなければこのまま終わるんだろうが、そんなわけねーわな』
ガンマが横目で見たのはあの時いたメガイストスの黒い柱に消し飛ばされたプレイヤーだ。睨みつけるような鋭くイラついたような目つき、腕を組んで貧乏揺り····典型的な奴だ。
「では次に····かなり苛立っている様子のシードさん」
ここはあえて煽るような誘い方。シードと呼ばれるプレイヤーは頬をピクピクさせながら話を始めた。
「俺はメガイストスに直接ぶっ殺されからわかることがあるぜ?あいつは····敵対モンスターだ!」
『『『????????』』』
「ねぇねぇ、今までの話聞いてなかったの?中立モンスターってことで話が纏まってからの話し合いだったでしょ?ヤバくない?めっちゃ頭悪いじゃん」ヒソヒソ
小さな声の耳打ち、横からベータがガンマにそんなことを言う。少し笑いそうになったが、今は会議だ。目を付けられるのは避けなければならないと理解している。顔には出していないが、座っている2人も同じことを思っているだろう。
その後奴はつらつらと言葉を並べた。自信満々な様子で考察を語るシードは周りの目も気にしていない様子だった。自分が正しい、これがこいつの正体だ!そういった感じの態度にあまり良い印象を持っていないプレイヤーも多かった、が。そこに一石投じたのは議長だった。
「だからあいつは···」
「えっと、今までの話を聞いていなかった、ってことでいい?」
「あ?」
周りの目に気がついたのだろう。シードは少し焦りながらも自分の見解の結論を話した。
「だ、だから!俺達は攻撃をしようとしたけど消えたんだって!つまりあいつから仕掛けてきたってことだろ?!だからあいつは敵対モンスターだ!!」
「うーん、では、シグマ」
話を振られたのは当然のようにシグマだ。
「説明をやさしーく頼めるかい?」
「わかった。」
呆れながらも今までのまとめを話した。
「メガイストスは十中八九中立モンスターで君の攻撃はやつの能力によって消されたと見るべきだ。攻撃意思を向けた時点で中立関係が切れ君を敵対生物として認識し、殺した。これが私たちの見解だ。あとは奴に近接攻撃は効くのか、それを話し合っていたところだ、以上」
「っっっ!」
恥ずかしそうに座ったシード、焦った表情を見せる2人の連れ、後ろの2人はかなり真面目に会議に参加している様子だったためこうなる事も分かっていただろう。リーダーの暴走を止められずにいるのがこいつらの現状といった感じだろう。
「·····ん〜?」
さっきの会話に少し違和感を覚えた様な表情のベータ。ガンマはベータの頬を抓り表情を直させた。ベータも優秀だ、この行動になんの意味もないイタズラだとは考えない。表情を整え正面を向いた。
シードのあとのプレイヤー達は特に情報を持っているという訳ではなくここへ情報収集をしに来たそうだ、つまり必然的にゆぃつまで話が回ってきた。
「ゆぃつさんは、どうかな?」
創世生物討伐メンバーのうちの一人、試すような目つきが襲う。
「何も知らない」
平然とした顔でそういう。
「俺達もここに情報収集として参加したんだ、俺達も配信で見た情報以外は何も持ちえていない」
「そうか、なにか気になった事があれば遠慮なく言ってくれると助かります」
「もちろん、協力は惜しみません」
「私達も同じ意見さ、なにか掴めたら報告しに来よう。」
「助かるよ、これにて第一回メガイストス攻略会議を終了とします。お疲れ様でした」
プレイヤー達が会議室を退出していく。
「んじゃ俺達も行くわ。助かったよシグマ」
「あぁ、また今度」
去っていく3人、それを見送るシグマ達と、パルト
「·······シグマ、」
「なんだ」
「誰なんだ、あの化け物は」
「さぁ、自分の目で見ることをオススメするよ」
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さっきの3人は誰なんだ、会議室でそう考え込むパルト。
『歩き方だけ見てもわかる、あれは····やばい、あの中の1人がとかそういう話じゃない、あそこにいた3人とも漏れなく怪物だった。俺の魂が言ってる、どこかで戦ってる、そして完膚無きまでに叩きのめされ恐怖を植え付けられている·······思い出したくないと思えるほどの強さ、』
答えは出ていた。出ているはずなのに、信じたくない。
「俺達はまた、彼らに潰されるのだろうか、」
数年前NWOにて事件は起こった。
タワーディフェンス形式
────クラン戦
【不色王VS反逆者連合】
プレイヤー数
────反逆者連合:1332
────不色王:40
『その時俺たちは理解した。傷つき色付く赤にも、土を被り汚れる色も、敗北によって黒に塗られる白の星にも······誰も彼という真っ白なキャンバスに色を付けることなどできない。』
「あぁ、あれが」
不色の王達なんだって。




