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#4 兄弟

「植物は水と光から栄養を作るんだよ」

「……」

「人間は無理だよ、緑色じゃないでしょ?」

「……!」

2人で小さな焼き物の器に水を入れて運ぶ。正直この量ならあってもなくても変わらない気がするが、安全を優先すべきだ。弟にも、お手伝いという経験をさせたい。


「ここの水瓶に移して、溜めておくんだよ」

「……!」

兄さんは遠くの方で柄杓で水を撒いている。ジョウロとか無いのかな。というか、絶対水路敷いた方がいいよな。俺にはあまり関係ないことだが。

「俺はもう何往復かするから、キュードはここの木陰で休んでていいぞ」

「⁉︎……!」

「『まだやれる』?……うーん……いや、今は兄さんを見てて欲しいな。もしかしたら、水やりもさせてもらえるかもしれないぞ」

キュードはようやく納得したようで、木陰に座った。


井戸と水瓶を何往復かした後、俺も木陰で休むことにした。兄さんはまだ水を撒いている。

「あ、そうだ」

「……?」

3歳の誕生日のクエスト報酬を貰い忘れていた。

(【クエスト一覧】を表示!)


ーーー〈ステータス〉ーーー

【クエスト一覧】

〔クリア!〕

・3歳の誕生日を迎えよう

報酬:スキル“合成Lv.1”

〔新規クエスト〕

・スポナーを合成する

報酬:MP自動回復量ボーナス

・MPを消費する

報酬:MP最大値ボーナス

〔未達成〕

・スキルを使ってみよう(1/2)

報酬:スキル“合成Lv.?”

・スポナーを合成する

報酬:MP自動回復量ボーナス

・MPを消費する

報酬:MP最大値ボーナス


ーーーーーー


……合成スキルって既に持ってるよな?

(【スキル】を表示する!)


ーーー〈ステータス〉ーーー

【スキル】

・ステータスウィンドウ

・合成Lv.1

・合成Lv.1


ーーーーーー


……2つあるなあ。よく分からないことばかりだ。

MP消費……この世界って魔法とかスキルとは別であるのか?“スポナー”ってどういう意味だっけ……


「カージ!お前、キュードに草むしり教えてやれよ!」

「草むしりに教えることなんてあるか?」

「父さんと母さんはメグサも野菜も抜くぞ」

「何でうち畑持ってたんだろうな。ほんと兄さんがいてくれてよかったよ」

「どうせ……る癖に」

「兄さん、なんか言ったか?」

「……いや、俺も見張ってるからな!ちゃんとキュードに教えてやれよ!」

メグサというのはシロツメクサみたいなやつだ。この世界では前世以上に作物の成長を助けるらしい。ちょっと花冠だの作って遊ぶ分にはいいが、丸裸にされると困る。


「だいたい葉っぱがまっすぐでちっちゃいやつを抜いとけばいいから。多分メグサと作物さえ抜かなきゃいいよ」

「……」

「そうそう、上手上手」

「そうやって覚えてたのかよ、雑だな」

「いや、俺も何となくでしか分かんないからさ」

「……誰かに教わったんじゃねぇのか?」

「俺大人の人父さんと母さんしか知らないよ」

多分冒険者あがりの小金持ちで他所からやって来たうちの親は、地域のコミュニティから少し浮いてる気がする。

「兄さんは先生とかいたの?」

「神官の人が、その辺のガキ集めて教室やってたんだよ」

……兄さんも子どもだろ。

「えっ、俺も行きたい」

「つまんねーし、みんな5歳から来てるって言ってたぞ」

5歳からってことはみんなスキル鑑定は終わってるのかどうか、やや富裕層なのか?

……いや、違うな。スキル鑑定の終わった平民のうち、特筆すべきスキルもなく地域に残ることにした子どもの教育機関、と考えた方が辻褄が合う。学校の存在は別に聞いたことがあるから。

「みんな畑してるの?」

「ああ、多分。でも神官は計算とか文字とかしか教えて来ないんだ。俺は肥料の作り方とか知りたいのにさー、それになんか偉そうで嫌だったんだよ」

計算と文字は大事だが、態度悪いのはちょっとな。

「どうせお前、もうすぐ鑑定なんだからそこに神官もいるだろ。気をつけろよ」

「神官って悪い人なの?」

「お前の姉さんたちは鑑定のあとにどっか行っちまったんだ」

「それは貴族とかの養子に取られたんでしょ」

そう返したあと、兄さんが顔を顰めていることに気付いた。もしかすると、ずっと不安だったのかもしれない。というか異世界だからって俺が適応し過ぎたな……

「……お前も、うちから出て行きたいのか?」

「……」

兄さんから目を逸らすと、今度はキュードと目が合った。


◇◇◇

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