#5 スキル鑑定の儀
教会にはたくさんの子どもたちがざわめいている。一応、もらったスキルについてあんま大きな声で話すなよ、という注意らしきものをしているが、聞く耳持たずだ。そもそもあんまり聞こえない。口の動きでようやく推測できた。
シスターに誘導されて大きな扉の前に並びはじめた。1人ずつ交代で入っていく。しかし列が長い。子どもしかいないのに。
10人目くらいの子どもが、扉から出てきたときに指から炎を出してみせた。他の子は目を輝かせていたが俺はあぶねぇな、と思った。炎の子は他の子より少し大きく見えるので商家とかの4,5歳なのかもしれない。あと、スキルってやっぱそういうのだよな。
その後も風が吹いたり空気が冷えたりして意外と退屈しなかった。もらったら使うよな。体感、10人に1人くらいが魔法っぽいスキルを使っていった。たまに誰か倒れた。MPが足りないのか?
ついに俺の番になった。
「この水晶玉に手を乗せて下さいね」
シスターが言った。部屋の中には3人ほどの神官が準備していた。リーダーと補佐と書記かな?
シスターの言う通り水晶に手を乗せると、水晶と同時に暫定書記の持っていた巻物が光ったのが見えた。
と同時に、前世の記憶が急に雪崩れ込んできた。
……といっても、早死にしたこと以外はなんの変哲もない人生だった。子どものときから死ぬまでただの一度もレールを外れたことはなかった。唯一の趣味といえば、スマホゲームに熱中していた。なんのスマホゲーム、とかでもない。広告のゲームを片っ端から入れて、通勤中はずっとゲームの中の広告を見ていた。広告を見終わったら縦動画を見ていた。
俺は電車の中に立っていた。いつものようにダウンロードしたゲームを片っ端から開く。その中に、『Isekai Merge』というタイトルがあった。さっきダウンロードしたばかりのゲームだった。チュートリアルが始まった。
【同じ種類のアイテム同士をドラッグして重ねてください】
雑草が2本マス目の上に置いてある。ドラッグして重ねた。……雑草Lv.2になった。
【アイテム同士を重ねることで、より高品質なレベルのアイテムを作成できます】
雑草が高品質になってどうするんだ?
【何回か合成(merge)してみましょう】
雑草、雑草Lv.2、……雑草の束、……〈薬草の苗〉になった。
【スポナーからはMPを消費してアイテムを生成することができます】
薬草の葉が出てきた。チュートリアル中はMPが増えているようだ。
【合成を繰り返し、必要なアイテムを入手しましょう】
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