#26 異世界算
◇◇◇
コツコツとチョークの粉を集めて、チョーク一本を手に入れることに成功した。かなり達成感がある。持ちやすいし。
最近気づいたことだが、チョークの粉から作ったチョークからも粉が落ちる。それを合成すると100%とは言わないが、かなりの収率でチョークを再利用できる。
……と思っていたところ銀色の風によって全てのチョークの粉が吹き飛ばされた。
「ああっ、チョークがっ!」
「……あげたペンは使ってないのかい?」
ジルコは俺の手元にある黒板を覗き込んだ。
「これは、何してるんだい?」
「えっ、計算に決まってるじゃないですか」
「……趣味?」
「いや、過去問の」
何か致命的なすれ違いがあるような気がする。
「一旦、どうやって解いたか教えてくれる?」
「ええっと、まず、求める数字を『ヌ』とか適当な文字に置くじゃないですか。それで、この問題なら『ヌ』×2を2回かけて、掛け算は計算する順番を入れ替えても答え変わらないじゃないっすか、だから4×『ヌ』×『ヌ』がここに書いてある数字、300になる。」
「続けて?」
「式の右と左で同じ数を割っても式は成り立つから、同じ数字をかけて75になる数字を探せば、それが答えになります」
「うーん……君は計算が上手すぎるな。ちなみに同じ数字を書けて75になる数字は見つかった?」
「8と3分の2を合わせた数よりちょっと少ない数です」
「ええっと、3分の2?0.666……だから、合ってるか。うーん、そういう解き方できないように作られてるんだけど」
この世界でも小数は存在するみたいでよかった。しかし、そういう解き方ってなんだ?
「本当はこれ、魔法を使って数え上げるんだよ」
ジルコは四角い板を取り出して、その上に砂の山を作った。
「生活魔法か初級魔法の土属性のやつを使うんだよ。それで、適切な形の砂山を作って、答えになる場所の砂粒を数える」
正確性は問われるものの、正確な数字を聞かれているわけではないそうだ。
「そもそも数が無限に続いちゃったらワケ分かんなくて困るでしょ」
……無限小数を定義できてない方が困るのでは?
「砂粒を数えるってどうやるんですか、まさか試験会場でひとつひとつ数えるんすか?」
「んなアホな。魔力の感覚であたりをつけるんだよ」
MPが足りないやつは生活魔法を使うが、十分にある場合は一般魔法を使った方が精度がいいらしい。
「試験官だって砂粒を数えてるわけじゃないじゃあないですか。それっぽい作図して計算だけ筆記でやるとかできませんかね」
「暗算できるなら良いけど。会場に紙とペンは無いよ」
……この世界の計算法を身につけた方がいいな。
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