27 魔法入門概論
まず魔法の基礎から教えてもらうことになった。
「使うだけならこんな理論要らないんだけど、僕としては君に魔法使いになってほしいからね!」
まず生活魔法と一般魔法の違いについての講義が始まった。
よく言われるのは消費MPの差だ。生活魔法は1~5MPほどの消費で収まり、一般魔法は10MPから、というのが大雑把な認識だが、実際には発動形式やら応用可能性やらに大きく違いがある。
一般魔法のうち基礎となる四つの魔法は生活魔法を一般化、正規化したもので、発動の補助に詠唱やら陣やらが要る。生活魔法は燃費がいい、というよりも、どちらかというと生活魔法では込められる魔力に限界がある、という方が正しいみたいだ。
生活魔法の発動条件は現代でも詳しく解明されておらず、現象への理解度や想像力がその成功率を左右しているだろう、レベルの理解に留まっているそうで、大昔にあった戦争では敵国のご当地生活魔法になす術もなくやられた事例とかもあるそうだ。
……やっぱ民間魔法って言った方がしっくりくるな。
土の生活魔法を教えて貰って、魔力操作の練習をやっている。火と水と違って3MPくらい持ってかれるし、出したものをMPに戻すのもそこそこ難しい。ただ、戻さなくても消す方法が分かったので、部屋を散らかす心配はなくなった。
砂粒は砂粒同士をマージさせるとアイテムレベルをみてすぐにもとの数を計算できるという技を発見した。が、前の問題の答えを利用する問題もあるし、実用性で言えば微妙だ。それで作った石はかなり消しづらい。
……ちなみに件のご当地生活魔法だが、話を聞く限り雷魔法のように思えたので試してみたところ、手からスタンガンのように電撃を出すことができた。生活魔法は直感的、というわけで、前世の知識を使えば新しいものが創作できてしまうかもしれない。
◇◇◇
最大MPが20を超えた。いい加減一般魔法を真面目に教わらないと。
「ジルコ、一般魔法教えて」
「ジルコ先生って呼ぶなら考えなくもないよ」
「どうせ教えたいんじゃないの?……ジルコ先生」
「よろしい」
そういえば俺はステータスでMPを確認できるけど、ジルコには分からないんじゃないか?
「最大MP測らなくていいの?」
「もう使う気なの?……どうせ理論から説明するから」
一般魔法を使うときは、魔法を定義し、それを正確に魔法に反映させることがとても重要になる。そこで使うのが詠唱だ。炎、と言いながら炎を出す。その次に、大きな炎、と言いながら炎を出したとき、さっきよりも大きい炎が出せれば、それは詠唱に成功していることになる。この詠唱に使う言葉も日常語彙ではなく、より魔法的感覚に則した魔術的な語彙を用いることが生活魔法を一般魔法━━学問として応用するために必須であると言えよう、とのことだ。
身体的な感覚から脱却して魔法を使おう、って思うとそうなるんだな。そのせいで自分が持っている魔力を超えて魔力を消費する魔法も使えてしまうのだろうけど。
大規模な魔法を使うときほど正規化された手順で発動するメリットが大きいので、魔法使いを目指すならはやめに慣れておこうね、という話みたいだ。




