#19 悪だくみ
「ジルコ、俺のスキル調べてるんだよね。なんで?」
「そりゃスキルの研究者だからだよ」
「なんでスキルの研究者になったの?」
「……例えば、“魔力操作”のスキルの安定した獲得方法が見つかったことで、魔法使いはようやく春の時代を迎えたんだ。それで研究が進んで市民にも生活魔法が広まった。誰かにとっての当たり前を解体してみることで、世界に足りていないものに気づくこともある。そういった世界の変え方が権力にある程度耐性を持ってできるのが魅力かな」
「確かに1人だけ便利なもの持ってたらズルいもんね」
「うーん……」
「ズルいっていうか、そいつに権力が集中しちゃうもんね」
「ああ、それは正しいね。まあそんな感じだよ」
穏やかな時間が流れる。そろそろ本題に入るか。
「あのさー、俺のスキルのことなんだけど、多分MPが足りてなくて使えないんだと思うんだ」
「⁉︎……それは、直感的に分かるのかい?」
ステータスウィンドウのヘルプには、『固有スキルはスキル鑑定の儀で使い方を知ることができる』と書いてあったけど、一般には知られていないのかも知れない。大人が分からないんだから当然子どもも分からないと思われている気がする。じゃないとわざわざフィールドワークには来ない。
「うん、だって鑑定したじゃん」
実際はスキルの使用に問題はないのだが。
「どのくらい足りないんだ?」
「あればあるほど強いよ!」
「戦闘系か?」
「違うよ」
「……何が起きるのか分かるか?」
「えっとねー……アイテムを生成できる」
ジルコは大慌てでメモを取り始めた。
「もしかしたらジルコの魔力でもいいかも、取ってくるねー」
魔道具か何かを持ってきてもらおうかと思っていたが気が変わった。他人でもスポナーを使えるんじゃないか、と思いついたからだ。
物陰で薬草の鉢をインベントリから取り出してジルコに見せた。
「これは……」
ジルコが手を伸ばして鉢に触れると、枝が爆発したかのように伸びた。知らないものに安易に触らないほうがいいと思う。
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