#13 ベーラ草
◇◇◇
回復したMPを片っ端から薬草の苗スポナーに突っ込んで、苗にはすでに10枚以上の葉がついていた。薬草の葉は単体でも効果がありそうだから少しは残しておこう。葉は取ったらインベントリにしまえなくなるし。
薬草の葉を一回合成すると、薬草の小枝になった。この状態で一度人に見せた方がいいかもな。
「カージ、それどこで拾ってきたんだ?」
誰に訊くか思いつかなかったので、常に持ち歩いて話しかけられるのを待つことにした。早速父さんが来た。
「いい匂いがするから、持ってきた」
「そいつはベーラ草って言ってな、冒険者なら必ず一度は世話になる薬草なんだ」
「薬草?」
「ポーションの材料になるからな。俺も鉄級のときはよく採取依頼をこなしたもんだ。懐かしいな……」
「探したらもっとあるよ!」
「やめとけ。ベーラ草がいっぱい生えてるとこは人の手が入ってないから、魔物が来るかもしれないぞ」
だから冒険者に頼むんだろうな。
「ねえ、これでポーション作れる?」
「さすがに量が足りねえんじゃねえか?大鍋に山盛りのベーラ草を入れてるのを見たことあるからよ」
そんなに使うのか……
「今度町一緒に行くか?」
「うん!絶対連れてってね」
家から教会は大通りと別方向だから1人で行き来できるのだが、町は治安の想像がつかなくて怖い。
◇◇◇
ベーラ草は母さんの手によって窓際に干されている。口にこそ出さないが、父さんとは違ってもっと欲しがっていそうだ。
「カージ、町に行くぞ……キュードも一緒に来るか?」
……俺はなるべく1人で集中したいが、キュードはどうだろうか。
「……」
キュードは俺の方を見ている。とてもきらきらした目で見ている。
「……キュードはまだ子どもだから留守番してた方がいいよ、父さん!」
父さんは生暖かい目で見ている。
「お前だってまだ子どもだろう」
「俺はもうスキル鑑定だって受けたよ!キュードも、鑑定終わってからの方がいいよ!」
俺の理屈のどこに納得したのかわからないが、キュードは留守番となった。キュードも納得していそうなのが謎だ。




