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#11 一筆書き

今日は畑の手伝いはやめておこう。教会の講習について調べないと……魔法だけじゃなく、読み書きも覚えないとマズい。この世界の識字率ってどんなもんなんだ?親は読み書きできるんだろうか。

「父さん、文字教えて」

「おう、いいぜ」

父さんは現役の冒険者だ。見るからに筋骨隆々の戦斧遣いで、結婚してからはギルドで教官役をやることが多いみたいだ。

「これで『カージ』って読むんだ」

……お出しされたのは『塊』だった。悪筆に対してミミズの這ったような字とはよくいうが、さながらこれは死に物狂いの大蛇だ。基本的に左から右に書くようだが、線がたまに戻っている。というかほぼ一筆書きだ。本当に合ってんのか?これを参考にしていいのか?

「……キュードは?」

「これだ」

あー、ちょっと戻る回数が多いかも。

「ちなみにこう書くと『パパ』だ。父さんって意味だぞ」

『パパ』は明らかに2音連続していそうな綴りになった。人名の書き方が特殊なのか?

「『父さん』って書きたいときはどうするの?」

「そんなもん知らねえよ」

他の人に聞こう。もし父さんが正しかったとしても、これじゃ覚えられない。


母さんにも聞いてみたが、相変わらず名前の綴り方は分からない。それでも食い下がると、神官に聞けと突っぱねられた。神殿には一緒に行ってくれるらしい。

神殿に着くと、若いシスターに俺は預けられた。久しぶりに抱き上げられた気がする。そういえば俺まだ3歳だよ……

「シスターさん、もしかして鑑定のときの人?」

「確かに、私もいましたよ」

「なんか、俺のスキルよくわかんないんだって。うちに魔法使いの人が話聞きに来たんだよ」

「ああ、あのときの……」

「あと俺、自分で歩けるよ」

「でも道はわからないでしょう」

話しているうちに別の質素な建物に着いた。

「ここでは子どもたちのために勉強を教えているんです。神殿の子どもたちが多いですが、もちろん、あなたも神様に歓迎されていますよ」

宗教施設だもんなあ。

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