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#10 魔法

「僕のスキルは“砂塵”。魔力の砂を生成して操る、土魔法に似た固有スキルさ。」

「へえ……」

砂の山が宙に浮き、俺の手を掠めるとどこかへ消えていった。

「本物の砂じゃないんだけどね。うーん、反応なしか……」

「あの、すみません」

「なんだい?」

流石に訊かないとまずいことがある。

「魔法って、なんですか?」


ジルコは一瞬ぽかんとした顔でこちらを見た。

「ごめん、飲み込みがはやいからすっかり子どもだってこと忘れてたよ」

「知識とかしこさは別でしょう」

「うーん、本当に子どもらしくないな」

「それで、魔法ってなんですか」

「魔法っていうのはね……」

魔法というのは、魔力を消費・操作して意のままに現象を起こすことだそうだ。火、水、土、風……ジルコは「絶対にマネするな」と忠告して実演してみせた。

「すごい!……スキルとは何が違うんですか?」

なんせ魔法もスキルもない世界から来たからその辺がわからない。

「良い質問だね!一般には、スキルは生まれ持ったもので、魔法は技術であるとされている。しかし、後天的に獲得できるスキルも多く知られているし、魔法だって生まれ持った魔力量に大きく影響を受ける。そこで、この2つの超常現象はどこが根本的に違っているのか?」

話長くなりそうだな。


「魔法はただ世界にある魔力を操作し、その結果として物質的な現象が起こる。対してスキルは、現象そのものを操る能力と言えるだろう。MPを消費するスキルはMPそのものではなく、創発のためのエネル……」

「じゃあ、俺にも魔法って使えるんですか⁉︎」

割り込んでおこう。

「コホン……ああ、理論上は。でもMP最大値が最低でも20は要るかな。初級魔法でも10くらいは使うし、魔力枯渇は怖いからね」

「魔力が枯渇するとどうなるんですか」

「運が悪いと即死かなあ、ほぼ何も起こらない人もいるけど、それでも慢性的に魔力0の人間がまともに生きられるとは思わないね。0じゃなきゃ良いんだけど」

怖すぎる。それまで症状無いのに、0になったら急に死ぬかもしれないの?

「魔力はどうやったら増やせるんですか?」

「魔法から魔力操作を覚えて、自分の身体に取り込める魔力の量を徐々に増やして行くんだ。魔力に体を慣らしていく感じだね。……MP20からはそうやって伸ばすよ」

「MP20までは?」

「死ぬ気でやるか、高価な魔道具でも使うか……一応大人になるまでは成長と共に増えるから、多分君なら届くと思うけど。ちなみに貴族学園の魔導学科は15歳でMP50を基準にしてるよ」

貴族すぎるだろ。

「教会とかでもたまに生活魔法の講習はやってるけど、魔力の感覚って消費量が少ないとわかりづらいんだよねえ」


……スポナーを使う時、確かに魔力のような感覚を覚えたはずだ。教会は後で覗きに行こう。

「ああ、もうお昼だね。スキルについてはのんびり調べていこうと思うから、また来るよ」

そう言ってジルコは玄関を出ていって、銀色の風に包まれるとどこかへ消えてしまった。あの人のMPはいったいいくつなんだ……

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