04.ひよこの思い
「こいつ、生きてっかなぁ…?」
「フェニィ、縁起悪すぎ」
(あれ、ここどこだろう──私、確か遭難して…)
「おじいちゃん帰ってきたらどうするの?焼くの?」
「焼き鳥じゃねぇんだから食わねぇよ……」
(この人達は誰なんだろう──)
ぱち、と目が覚める。その様子を察してフェニィとチェンはひよこの方へと視線をやった。
「あっ!起きたみてぇだな!!おはよう!!」
「どうして…。どうして助けてくれたんですか??見ず知らずの、赤の他人の私の為に──どうして??」
困惑したようなひよこの言葉に、フェニィは頭を掻きながら言葉を絞り出す。
「ん〜。別に理由なんてねぇかな……。困ってる奴がいたら助けたいって思うのが、〝革命家〟ってやつだから──かな?」
「っ!!…かく…めい──か??」
フェニィのはにかむような笑顔を前に、ひよこはどこか胸を打たれたように感じた。
「フェニィ、革命家名を乗りたいならまずは最低限の実力を身につけるべき。はっきり言って、弱すぎる。大きな口を叩きたいなら私との組手で一撃くらい当ててから言うべき──」
「うるっさいなぁ…ヒナ!!なんだったら今すぐその減らず口塞いでやろーか!?」
「望むところ…。フェニィじゃ十年経っても、私には触れられない──」
「…………ふふっ!あっははは──!」
初対面にも関わらず、いつも通りのやり取りを繰り広げる二人を見て、ひよこは笑みが溢れ出す。
そんな遠い日常が、儚くも鮮明に呼び起こされていた。
「もう、こうやってみんなで騒いだりするのも──最後なのかもしれないんだね……」
フェニィが明日旅立ってしまえば、自分にはそれを追いかける事は出来ない。
きっとヒナは付いて行くのだろう──彼女には、フェニィの傍にいるだけの実力も意思もあるのだから。
「なんの力も無いわたしには、二人に付いて行くなんて出来ないな──」
感情論どうこうではなく、純然たる真実だ。
革命家として世界を旅出来るのは何かしらの意志や才能に恵まれた一部の類い稀なる者たちだけだ。
フェニィには何の力も無いが、世の中を変えたいという強い願いがある。
ヒナには大きな夢も野心も無いが、全てをねじ伏せるだけの圧倒的な《先祖返りの能力》と、飛び抜けて秀でた《戦闘のセンス》の両方がある。
あの二人なら本当に、もしかしたら世界を変えるほどの大きな〝大革命〟を起こすことだって出来るのだろう…。が、しかし──自分には何も無い。
無力で、無知で、無能で平凡なただの女の子──それが自分だ。
それが分かっているからこそ──ひよこの中にはやるせない気持ちが渦巻いていた。
「メラちゃん…あの二人をよろしくね──」
一緒にフェニィに付いて行くであろう──〝火の鳥〟のメラを優しく撫でる。
この子もまた、フェニィの旅の〝翼〟として、彼らを乗せてどこまでも遠くへ羽ばたいて行くのであろう…。
「わたしにも、みんなと一緒に飛べる〝翼〟があったらな──」
嘆き声を抑えるように、闇夜の中ひよこはひとり蹲るのであった──。




