02.旅立ちの夜
「ヒナの手借りて悪党ども懲らしめたんだってなぁ〜!はっはっは!!」
(チキショー…こいつら好き勝手言いやがって。俺だって戦ったんだよォ──)
酒場は皆、ひったくりを捕まえた挙句そのまま悪党達を締め上げたヒナの話題で持ち切りだった。
「おいヒナ!こっち来ておめえも飲め飲め〜!酒ならいくらでも奢ってやるぞぉ!?」
「辞めとけよダズ、ヒナに酒で勝てるやつなんていな…」
と、そこに。スゥ…とヒナが目つきの悪い態度で現れる。
「へぇ…アンタ。あたしより酒、飲めんの??」
「お、おう──やってみるか??」
三十分後──
チーン。と、撃沈したダズが机に転がっている。
対するヒナはというと…
ゴクッゴクッゴクッゴクッ──ぷはぁっ
眉間まで赤く染め上げて、色香を纏わせながらフェニィの隣へと座る。
「お前なぁ〜、酒は子供の飲み物じゃねぇんだぞ??」
「アタシもう十四だからこどもじゃないし!舐めんな!…っヒック!」
完全に出来上がっているヒナが机に突っ伏したかと思うと、入れ替わりで現れたように少女が一人──フェニィの隣へと現れた。
「ニィちゃんお疲れ様♪となり、いい?」
「ん?おう!ひよこ!お前も座れ座れ!腹減っただろ!!」
街娘らしいワンピースに、カチューシャリボンを付けた、ふわふわの黄色い髪をした少女──ひよこがフェニィの言葉に会釈をして隣へと座る。
「ヒナちゃん、大丈夫?」
「もぐもぐ…問題無いけど、何?」
また何か頬張りながら、半目で答えるヒナ。
無愛想なヒナとにこやかに笑うひよこは、フェニィを挟んで二人仲良く談笑していた。
……。
……。
チリンチリーンと、店の外へ出ると冷たい風が頬を撫でる。
とっくに人気が無くなった街中を駆け回る。
「パン屋のおっさん、祝いのケーキを忘れたって何やってんだよ全く…」
そんな、急ぎ取りに来たフェニィの横をフードの男がすれ違う。
「っ!!あぶね!」
「……気をつけろ、小僧。次は命がねぇからな──」
フードの男はそのままフェニィとは反対方面へと歩いていった…。
「危うくケーキ落っことすとこだったじゃねえかあぶねぇ…。」
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「ただいまぁ〜!!帰ったぞぉ〜!」
「あ、ケーキが帰ってきた…」
「誰がケーキだ!!」
「お疲れ様ニィちゃん!はい、グラス持って♪」
疲れた心を癒すように、満面の笑顔を向けるひよこ。
持ってきたケーキをパン屋に渡し、その場で切り分けてもらう。
「それじゃあみんな揃ったなぁ!!今日は〝ヒノトリ様〟の感謝祭だ!!こいつらの祖父である島長スザクさんはここにはいないが…この島は俺達の家だ!ここに居るみんなは、俺達の家族だ!今日は集まってくれてありがとう!!」
わーーー!!と、皆が一様に喜び叫びあっている。
年に一度の感謝祭は、大体いつもこんな感じでお祭りだ。
こういう雰囲気は…本当に好きだ。
「それじゃあみんなーー!!」
「カンパアーーイッ!!」
「俺のセリフを取るなフェニィ!!!!!」
ギャハハッ!と笑いが巻き起こる。そこからは一晩中飲んで叫んで、歌って騒いでのお祭り騒ぎ。
この時誰も予想などしていなかった…次の日あんなことになるなんて……。




