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第17話 Conflict

私はグラウンドの隣のゴルフ場へと急いで移動した。


ゴルフ場の中央からペイントガンの特殊な発射音が聞こえる。敵が数人衝突している。

行くなら今しかない。


私は重たいライフルを後ろに提げ、中央へと向かった。

ラフの上を匍匐前進ほふくぜんしんする。ラフは全く手入れされていないらしく、芝生が高くて隠れやすい。アダマントスーツは黒だから迷彩にはならないが、発見するのはかなり困難なはずだ。


中央へ行くにつれ、発砲音が大きくなる。大体60メートルくらいか。ここから狙撃しよう。


中腰の姿勢になり、DF-M26を構える。銃の重さが肩にのしかかる。

見ると、三人が障害物に隠れて膠着状態になっている。ろくに照準も合わせず、撃っては隠れてを繰り返しているが、あのままじゃ埒があかない。


楽にしてあげよう。


とりあえず1番手前の敵に向かってライフルを撃った。こまめに敵が動くので、弾が外れて腹にあたる。

私は大きく舌打ちし、再び伏せた。ペイント弾と実弾は弾速も、弾の進み方も相異なる。しかしこの近距離で外すのは軍人の矜持が傷つく。


ペイントガンの発射音は比較的小さい。そしてこのDF-M26は狙撃用に設計されており、ほぼ無音の発射を可能にしている。音によって捕捉されることはない。

どこからともなく弾が飛んでくるほど怖いものはないだろう。


中腰になってもう一度敵の方を見ると、ドラム缶の裏で伏せていた。

私は今度は確実に狙いを定め、標的を仕留めた。


弾を再装填するべく、また体を伏せる。


装填が終わり、再び体を起こそうとした刹那、後ろから足音が聞こえた。

小さいが、確かな足音だ。私の後ろの方向はグラウンド。つまり、さっきの()()()()()()が追いついて来たのだ。


こんなところで奴と戦っても良いことがない。しかし、アダマントスーツの隠蔽性能には限界がある。近くまで来られたら確実に見つかる。ここでオリバーを殺るしか私が生き残る術はない。


私はじっと息を潜め、接近を待つ。奇襲という点で私の方が優位なはずだ。


乱暴足音が大きくなっていく。まるで恐竜映画だな、と自分を笑った。ピストルに手をかける。

自分の心臓の鼓動もまた、大きく聞こえる。


しかし、足音は大きくなるどころか、段々小さくなり始めた。伏せているので、ミニガン野郎がどこにいるのかわからない。もしかするともう気づかれているかもしれない。


私は状況を把握するため、身体を恐る恐る起こした。すると、中央の二人の敵に突っ込むミニガン野郎の姿が見えた。私は大きく安堵した。


なんとかやり過ごすことができたのだ。


中央に元々いた二人はミニガンの威力と連射力で無残に倒れていった。私はこの絶好のチャンスを逃してはならない、とライフルを中腰で構えた。


スコープを覗く。すると、ミニガン野郎がこっちを見ている。

最初からここにいることに気づいていたのか。


私が引き金を引こうとした直前、奴はミニガンを放り投げた。武器なしで闘おうというサインだ。



私も立ち上がり、ライフルとピストルを地面に置いた。


奴と礼をする。稽古の時にいつもするのだ。これで相手の中身がオリバーだというのが確定した。


次の瞬間、私は地を蹴り、半弧を描きながら奴の側面に迫った。

奴の腹をめがけて思いっきり脚を蹴り上げるが、アダマントスーツのせいでビクともしない。


その代わり、私はみぞおちに強烈なパンチを喰らう。

胃に鈍い痛みが走り、胃酸と一緒にピーナツがこみ上げる。思わず声を漏らす、

しかし、アダマントスーツの中での吐瀉は大惨事だ。

必死にピーナツを飲み込み、一歩後退する。アダマントスーツがなかったら胃が破裂していただろう。奴も容赦しないようだ。


作戦変更。頭を複数回強打させて失神でもさせればいい。


私はバク宙して後退する。この動作に特に意味はない。


そして奴に向かって突撃する。また蹴りを喰らわす、と見せかけてフェイントでの突進。奴はたちまちバランスを崩す。


そして起き上がろうとした奴のサッカーボールのような頭に蹴りを加える。


奴の体が衝撃で吹っ飛んだ。私の足が反動で痺れて痛い。奴もこれくらいやれば無事じゃないだろう。


だが、期待は裏切られた。


奴は近くに転がってたピストルを手にして、私に向けてきたのだ。


この卑怯者!


私は大声を出しながら奴に向かって突貫した。

時間がゆっくり流れる。あのラスベガスの時と同じだ。


お願い。間に合って。


ピストルに手を伸ばす。あと50センチ。あと30センチ。あと...




「試合終了!」




スーツ内蔵のスピーカーが耳障りなほどの大音量でそう告げた。


「上位四人が確定したので、試合終了とします!皆さん、お疲れ様でした!」


海馬の陽気な笑い声がスーツ内に鳴り響く。



私とは重力に身を任せて倒れた。


体はボロボロだった。


さっきの胃の痛みが一気に押し寄せる。

私は吐き気を我慢するのに必死だった。


オリバーのスポーツマンシップを欠いた行動は後で厳しく問い正そう....


意識が遠のいていった。


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